デジタルとの“同伴”でより便利に進化中!ゴルフにはAIがある!

世の中は今、第3次AI(人工知能)ブームの真っ只中。勢いは一層増しており、ゴルフ業界にも影響を与えています。その現状を、今後の流れもふまえて紹介します。

Robot playing golf with caddy against a white background.

◆3つのキーワードでAIは言い表せる

チャットGPTや生成AIは昨年から爆発的な勢いで一般に普及し、今もさまざまな話題を振りまいています。ゴルフ業界におけるAIの進出も目覚ましく、多くの企業がAIやIoTといったデジタル技術を用いて社会や人々の生活をよりよい状態へ変革するDX(デジタル・トランスフォーメーション)化を進め、新しいゴルフの形が構築されつつあるのが現状です。とはいえ、AIのあまりの〝お利口〟ぶりに不気味さを覚える人もいるでしょう。そこで、AI・脳科学博士(工学)の松田雄馬さんに、そもそもAIとは何ぞやという話からお聞きしました。

「AIとは、生命の行う知的な振る舞いを人工的に再現しようとするもの……と言うと難しく聞こえますが、実は認識・分析・制御(下表参照)の3つで言い表すことができます」(松田さん・以下同)

下のイチゴの図をご覧ください。赤いイチゴと白いイチゴの写真をたくさん集めると、その境界に線を引くことができます。

「これらのデータをコンピュータに覚えさせることで、赤いイチゴを認識するAIができ上がります」

イチゴをゴルフスイングに置き換えれば、いいスイングか否かを認識・分析できる、というわけです。

「AIが意思を持って勝手に動き出すとかいう噂がありましたが、AIの原理としては〝イチゴが赤いか白いか〟をやっているだけ。生成AIにしても、イチゴのデータを人間が〝食わせて〟いるからこそ、ちょうどいい感じのイチゴを取り出せるだけなんですね」

AIによる認識・分析・制御を組み合わせると、あらゆる可能性が生まれます。次ページから紹介するモノやコトもこれらを活用したもので、ゴルフ業界にさまざまな変化をもたらしています。ひとりでも的確なスイング矯正を可能にしたり、人材不足にあえぐゴルフ場は業務を効率化できたり、ひと昔前は考えられなかったことが現実になりました。これからさらなる変革が予測されますが、私たちはこうした流れとどう向き合っていけばいいのでしょう。

「僕たちの会社はAIとの共存、共創を行う未来への〝道先案内人〟として各企業と仕事をしていますが、そこで大事なのは何を理想としているのか、という点です」

これはゴルフ場や一般のゴルファーにとっても同じだと言います。

「スキルアップしたいのか、単純に楽しみたいのか、ゴルフを通じて人とつながりたいのかなど目的を明確にし、理想を実現するための手段として利用するといいと思います」

◆教えてくれたのは…AI・脳科学博士(工学)松田雄馬さん

「ゴルフ用ロボットスーツを着てトッププロのスイングが体験できるようになるかもしれませんね」(松田さん)

株式会社オンギガンツ代表取締役、大和大学 情報学部 特任教授 AI&メタバースLab.所長、一橋大学大学院 ビジネススクール講師。京都大学大学院卒業後、NEC中央研究所でオープンイノベーションを推進。さまざまな研究機関を経て独立し、現在は大手企業のAI技術開発支援や、デジタル人材育成支援を行っている。

Regina2023秋冬号より転載  エディター/相田英子

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