こんにちは。ハウスキャディ歴●年のB子です。さて、その日はキャディではなく、コース内の見回りをするマーシャルの仕事をしていました。全組がスタートを終えてしばらくした頃、マスター室から電話が。3名様の組でキャディがついているにも関わらず、1ホール以上開けてしまっている組があるから助けてあげてほしいとのことでした。
現地に到着すると、お客様は皆かなりのご高齢の様子。お聞きしてみれば、全員米寿(88歳)を迎えたばかりの同級生だとか。おひとりは耳が悪く、おひとりは歩くのがやっと。でも、「申し訳ない」と頭を下げながらお客様たちなりに急いでプレーしている姿はとても素敵でした。
…が、しかし! スロープレーは、どんな形であれマナー違反。ゴルファーの高齢化が進んでいる昨今、高齢者によるスロープレーに頭を抱えるゴルフ場も。もし、高齢の方とゴルフをすることになったら、どのようなことに気を付けた方が良いのか。そもそも、ゴルフは何歳までできるのか。キャディ目線でお話していきたいと思います。
◆乗用カートとゴルファーの高齢化
若いゴルファーが増えていると言われていますが、ゴルフ人口を年齢別に分けた各種アンケート調査を見ても、ゴルフ場関係者に話を聞いても、60代から70代が最も多いそうです。他のスポーツに比べて、特に高齢者が増えている印象のゴルフ。その理由の一番は、乗用カートの普及にあると考えられます。
キャディが手引きカートにバッグを載せて運び、プレーヤーは歩かなければならなかった……そんな時代とは違い、今は乗用カートが無いゴルフ場の方が珍しいですね。コース内に乗り入れできるゴルフ場も増え、足腰に少々不安があるという方でもプレーしやすい状況になっています。
逆に言えば、乗用カートが無いゴルフ場は高齢者にとっては利用しにくいゴルフ場ということになります。ゴルフ人口の大半を占める高齢者に来ていただかなければ、ゴルフ場の存続にも関わってきます。ゴルフ場にとって、乗用カートの導入は生き残っていくための術のひとつということになります。
◆ゴルフは何歳までできる?
歳をとってからでもできるスポーツと言われているゴルフですが、では一体いくつまでできるのでしょうか? ちなみに、私がキャディをさせていただいたお客様の最高齢は、男性で98歳、女性は85歳でした。(年齢を教えてくださったお客様に限ります。)歩くスピードはややゆっくりではありましたが、しっかり自分で歩いていらっしゃいました。
全員が80歳を超えるという高齢のお客様のグループも珍しくありません。そんなお客様に共通して言えるのは、向上心を持ってゴルフをされている方が多いこと。練習場に行くだけでなく、レッスンを受けているという方も多いです。
ただ、どうしても飛距離は落ちるそうです。「70歳を過ぎた頃から飛ばなくなった」と多くの方が言うように、歳をとるごとに2ヤードから3ヤードずつ飛ばなくなっていきます。女性の場合は、60歳前後から飛距離の低下を感じたと言う方が多いです。「まだまだ飛ばしたい!」と思っているお客様も多く、「昔はもっと…」が口癖の方も。普段から歩いたりして、飛距離を落とさない努力をしている方も、結構いらっしゃいますね。
◆高齢者とのラウンドで押さえておくべきポイント!
高齢者が増えるにつれ、どうしても問題になるのがスロープレーです。そのため、高齢者同士、もしくは高齢者の方と一緒にラウンドする場合には、いくつか気を付けていただきたいポイントがあります。
1.どれくらい動けるかを把握しておく
どのくらい歩けるのか、カートの運転はできるのかなど、運動機能の程度を把握しておきましょう。歩けるけど走れないという方も多く、「打ったらカートに戻る」を繰り返さなければならないような場合、一度前の組に離されてしまうとそのまま追いつけないということも少なくありません。
2.高齢者に優しいゴルフ場を選ぶ
歩くことに少々不安がある場合、使うティだけでなく、ゴルフ場そのものを選ぶ必要があります。アップダウンが無い、乗用カートがある、そしてできれば乗り入れが可能なところ。ご自身の足でゴルフ場に行くという場合には、免許を返納していることも考慮して、駅から近いゴルフ場を選ぶことも大切です。
3.予約時の注意点
7時台、8時台といった早いスタート時間は避けましょう。できれば1組3人までにして、カートやクラブを運んでくれるキャディをつけることをおすすめします。
年齢制限をすれば良いのでは? というご意見もいただきますが、体力や運動能力についてはかなりの個人差があり、「高齢者」として全てをひとくくりにすることはできません。ゆっくりしか歩けない70代の方もいれば、まだまだ走れるという90代の方も。そのため、年齢制限を設けることは現実的ではありません。そして、いつか自分もその年になった時、ゴルフができることを幸せに思うかもしれません。
◆キャディのB子 プロフィール
キャディのB子/あるゴルフ場のアルバイトキャディ。学生時代に家族の影響でゴルフを始め、大学のゴルフサークルに所属。就職活動に失敗し、ハウスキャディのアルバイトをして就職先を探すはずが、キャディが天職と気づく。シャンクが一番の敵。