コースや練習場にクラブを何本持っていけばいいか、毎回悩んでしまう方もいるのではないでしょうか。クラブを多く持っていけば荷物の邪魔になると思う人もいれば、たくさんあったほうが安心と思う人もいるはずです。コース別・実力別に必要なクラブの本数や、買い替えなどの購入時に目安となるクラブの特徴についてレッスンプロの村井良行氏に聞きました。
◆どのコースでもクラブが5本あればラウンドできる
18ホールあるゴルフ場(本コース)の場合は、フルセットを持って臨む人も多いでしょう。しかし、実際にはすべてのクラブを使うケースは少ないと村井プロは話します。練習場やショートコースに行くときとあわせて、必要な本数を聞きました。
ーー本コースに行くときは、クラブを何本持っていけば安心できますか?
村井良行プロ(以下、村井)「フルセットがあればすべて持っていったほうがいいのですが、4〜5本と少ない本数でもラウンドは十分できます。ラウンドに持っていくクラブは、できれば普段から練習しているクラブが良いでしょう。慣れたクラブのほうが打ちやすいし、安心感が違います。ドライバー・ユーティリティ・7番アイアン・ウェッジを練習される方が多いと思うので、それらにパターを加えた5本といったクラブ構成であれば、最低限のプレーはできるはずです。」
ーーショートコースの場合は何本必要ですか?
村井「ショートコースでは、コースの距離によって必要なクラブが変わります。ドライバーが使えるショートコースなら、ドライバー、7番アイアン(または9番アイアン)、サンドウェッジ、パターの4本があれば問題なくプレーできます。100ヤード未満の短いショートコースの場合は、ドライバーを除く代わりに7番(または9番アイアン)、ピッチングウェッジ、サンドウェッジ、パターの4本構成が良いでしょう」
ーー練習場に行くときは何本あれば十分な練習が可能なのでしょうか。
村井「練習場では、最低でもドライバー・7番アイアン・ウェッジの3本があれば練習は十分できます。その3本のうち、最初に打つクラブをアドバイスするとしたら、ドライバーから練習することをおすすめします。意外に思うかもしれませんが、レディースクラブの中ではドライバーが最も軽くて扱いやすいクラブだからです。アイアンは重くボールが上がりにくいのに対し、ドライバーは軽くてティーアップして打てるため、女性にとって最も扱いやすいクラブといえます。ただし、ドライバーばかりを練習しても良くないので、アイアンもきちんと練習してくださいね」
◆上級者でない限りクラブがスコアへ与える影響は少ない
ーーゴルフ初心者と上級者では、クラブの揃え方は変わりますか?
村井「初心者から中級者までは、クラブのスペック自体にこだわる必要はないと考えています。理由としては、スコアが90〜120までのゴルファーだとスイングがまだ安定していないので、クラブの性能を活かすことが難しいからです。好みのクラブに変えたいといった気持ちが出てこない限りは、頻繫に買い替える必要はありませんし、女性用クラブにはそこまでスペックに差がないこともいえます」
ーースペックに差がない理由について教えて下さい
村井「スペックについては、女性用クラブ特有の特徴にあります。男性の場合は、シャフトの硬さや重さ、複雑な形状のヘッドなど、たくさんのモデルが売られています。それに対して女性用クラブは、LとAなどシャフトの種類も限られ、単品よりフルセットで販売するなど、ラインナップされている種類もそれほど多くはありません。製造上のベースとして、カーボンシャフトを用いて軽めの重量になるよう作られているので、スペックも似た仕様になるのでしょう。そのぶん、女性に好まれる色やデザインに注目して違いを出しているといえます」
ーー女性でも男性用のクラブを使う人がいますが、それは女性用クラブでは合わないといった理由があるからなのでしょうか?
村井「スコアが80を切る上級者や筋力・体格に恵まれた人は、女性用ではなく男性用のクラブを使う傾向にあります。これは、筋力がある人が女性用クラブを使うとシャフトが合わず、飛距離や方向が安定しないからです。上級者も同じく、スイングが安定すると飛距離も安定してくるので、細かい距離を打てる番手が必要になります。そのため、女性用クラブのシャフトをカスタムするか番手を増やすといった対策をしなければなりません。ただし、女性用クラブは種類が少ないので、それならはじめから男性用クラブを調整することで対応する人が多いのでしょう」
◆ゴルフを始めるときは初心者セットで十分
ーー未経験者や初心者には、どのようなクラブがおすすめですか?
村井「最初はゴルフショップに売られている『初心者セット(スターターセット)』で十分かと思います。初心者セットにはドライバー・フェアウェイウッド・ユーティリティが各1本、アイアン(7・9・PW・SW)が4本、パターを入れた8本がキャディバッグ付属で購入できます。コースデビューしても初心者のうちは全部のクラブを使う機会はまずありませんし、クラブの性能を十分に引き出せるほどスイングも安定しません。また女性用クラブの場合、初心者セットと言っても一般的なクラブとスペック的には差がないので90を切るまでは同じクラブを使い続けることができます」
ーー上達してからクラブを買い替えるときにはどのような点に気をつければ良いですか?
村井「初心者セットから新しいフルセットに入れ替えるときは、製造元に気をつけて購入してください。クラブを選ぶポイントは、できるだけ有名ゴルフメーカーの製品を選ぶことです。知名度が低いメーカーの製品は、スペックや耐久性といった品質面に不安があるため、あまりおすすめできません」
ーーハーフセットとフルセットでは、どちらが良いのでしょう?
村井「女性用クラブの場合、ハーフセットと言っても実質的にはフルセットとほとんど変わりません。唯一の違いは8番アイアンがあるかないかの違い程度で、実際にプレーしても特に影響は感じないでしょう。スコア90〜100前後までのプレーヤーであれば、基本的なセット構成で十分対応できます。ただし、スイングが安定してくると、どうしてもカバーできない距離が出てきます。残り距離に対応できるクラブが少ないと感じたら、フルセットに移行してもいいかもしれません」
ーーコースデビューする前からクラブを揃えるのと、レンタルクラブではどちらを使用したほうが良いのでしょうか?
村井「コースデビューする前の段階では、レンタルクラブでも十分上達は可能です。私が教えているレッスン生の中には、最初からレンタルクラブで始めた生徒もいます。コースデビューの目途が立ってから購入すると言っていた生徒もいました。予算もあることですから、最初から無理に買わなくてもいいかなと思います。知り合いからプレゼントされたり譲り受けたりする人もいるでしょうから、状況に応じて検討すれば良いと思います」
初心者ゴルファーの場合、ドライバー・ユーティリティ・7番アイアン・ウェッジ・パターの5本でも十分ラウンドは可能だと村井プロは言います。そう考えると、最初のうちはフルセットを揃える必要はないのかもしれません。方向が定まらない、距離に対して適切なクラブがないと感じたら、クラブの購入を検討してみてはいかがでしょうか。
取材・文/夢書房