長引くコロナ禍の影響で、女子プロゴルフのトーナメントにさまざまな変化が生じています。何が変わるの? 活躍しそうな選手は?そんな疑問をクリアにしながら、今年ならではの見所を押さえていきましょう!
◆2021年は例年と違う見所がたくさんあります!(佐伯 三貴)
—2019年にツアーを引退されて以降、どのように過ごしていらっしゃいますか?
広島をベースに、中堅・若手の女子プロやアマチュアの指導をしています。教え子達の人生を預かっているのも同然なので、自分が選手をやっていた時期よりもゴルフのことを考える時間が長くなりましたね。
—若手の活躍が目覚ましいですね。
楽しみな選手が増えましたよね。子供の頃からデータを駆使した練習をしていますし、クラブの進化もあるので、スイングにクセがなくてよく飛びます。しかも曲がらないので、ゴルフの組み立てがシンプルにできているのが強みですね。
—コロナ禍の影響で女子ツアーに起きた変化について教えてください。
教え子などから聞くところによると、2週間に1度、PCR検査を受けるために移動を1日早めなければならないのが大変だそうです。もともと選手はツアー中、月曜日くらいしか休日がありません。日曜日に試合を終えて移動し、月曜日に洗濯をしたり、体のメンテナンスをしたり、トレーニングをしたりして過ごして、火曜日か水曜日に次の会場へ移動するサイクルです。検査は月曜日に行われることが多いようなので、検査がある週は休みが削られて、かなり忙しくなりますね。
—無観客試合については、どう受け止められているのでしょう。
それは選手のタイプによると思います。大勢のギャラリーがいたほうががんばれる選手もいますが、緊張しがちなプロは、今のほうがベターでしょう。でも、ギャラリーからの声援や拍手が力になるのは確かです。はやく若い選手にもあの独特の緊張感の中で優勝争いをして、勝ったときにわーっと湧き上がるような拍手に包まれる喜びや感動を味わってほしいですね。
◆教えてミキティ!ココが知りたい Q&A!
2020年はコロナ禍で中止が相次ぎ、開催されたのはわずか14試合。そこで、21年とシーズンが統合されました。選手への影響はどうなるの?
Q1:コロナ禍だけど、今年の試合数は?
レギュラーツアー37試合。コロナ禍でも昨年と同じ試合数(昨年は実際には中止もあり14試合)を確保できたことからも、女子ツアーの人気の高さが伺えますね。しかも、賞金総額は約41億4000万円! 過去最高額なんです。
Q2:今年のニューヒロインは?
20〜22歳前後の若手の中から多くの選手が活躍し、旋風を巻き起こしていますね。この世代に共通するのは、進化したクラブで育ち、ボールがあまり曲がらないこと。同世代の活躍を見て、「次は私が!」と思っている選手が多いと思います。今年もこの世代の中から初優勝を果たす選手が出てくるでしょう。
Q3:東京五輪日本代表の有力候補は?
出場選手は原則1か国2人までですが、オリンピックゴルフランキングの15位以内であれば、1か国につき最大4人まで出場できます。2月現在の世界ランキングは右の表の通りで、昨年大躍進した古江彩佳選手が16位にまで浮上しています。今シーズンが開幕したら、入れ替わりがあるかもしれませんね。
世界ランキング(2021.2.15現在)
7位 | 畑岡奈紗 |
13位 | 渋野日向子 |
16位 | 古江彩佳 |
23位タイ | 鈴木愛 |
Q4.無観客試合、選手への影響は?
ギャラリーがいてもいなくても最良のパフォーマンスをするのがプロ。大勢の観客に囲まれてプレーした経験がない若手の中には、観客が入ると緊張する選手がいるかもしれません。逆に、ギャラリーの声援がモチベーションになっていた選手は、観客が恋しいでしょうね。
Q5.賞金女王争いはどうなるの?
2020年と21年のツアーが統合されたため、20年のランキングが持ち越され、2年トータルの結果で決まります。現在のトップは笹生優花選手、20年後半に好調だった古江彩佳選手が2位につけています。今年も高額賞金の試合が多いので、最後まで目が離せない展開になりそうですね。
◆教えてくれたのは…佐伯三貴プロ
佐伯三貴/さいき・みき/1984年広島県生まれ。2007年3月にプロデビューし、翌4月、4戦目となるフジサンケイレディスクラシックで初勝利を飾る。2010年伊藤園レディスで2勝目をあげて以降、2019年にツアーの第一線から退くまでの13年間で通算7回の優勝経験を持つ。
*記事内の解説は2021年1月の取材に基づいています。
撮影/西田英俊、ALBA.net、Getty Images エディター/大津恭子