みなさんこんにちは。佐伯三貴です。ゴルフの面白さ、奥深さをお伝えするコラム2回目は、今年の女子ツアー展望などをお届けしたいと思います。
去年は、新型コロナウイルス感染拡大防止のために前半戦が次々に中止になってしまった女子ツアー。3月開幕のはずが、初戦が6月のアースモンダミンカップになってしまいました。
プロゴルファーというのは、普段ならオフシーズンの間に体のメンテナンスをしたり、トレーニングをしたり、スイング改造や調整をしたりして、女子の場合は3月第1週の開幕に備えます。そこからは、出場権のある選手は自分で休まない限りほぼ、毎週、試合がある日々が11月いっぱいまで続きます。
ところが去年は、開幕戦が中止になった後、バタバタと試合がなくなり、いつ試合が行われるかなかなかはっきりしないままの日々を過ごすことになってしまいました。状況的に仕方なかったとはいえ、試合=職場がないという不安はもちろんですが、コンディション調整にも、みんな苦労したはずです。そんな中で、全米女子オープンで優勝した笹生優花さんの活躍は目立っていました。ルーキーながら2試合連続優勝をやってのけ、注目を集めたのは記憶に新しいところです。
ツアーは、結局全部で14試合しか開催できなかったため、2021年と併せた異例のロングシーズンとなることが決定しています。2021年は、うれしいことに3月の初戦からずっと試合は開催されています。当初は3戦2勝した小祝さくらさんの勢いが目立ったのですが、2戦目で優勝した稲見萌寧さんが、その後、爆発的な強さを見せています。戦績は、今年に入って15戦5勝(取材日現在)という驚異のものです。これは本当にすごいことです。
2000年から2005年まで6年連続賞金女王になった不動裕理さんが、2003年には年間10勝を挙げて圧倒的な強さを見せたことがあります。その後、ツアーの層はさらに厚くなったため、もう不動さんのように1年間にたくさん勝つ選手は出ないのではないかと思われていましたが、稲見さんはそんな予想をひっくり返す勢いです。
彼女の強さは、どんなに優勝しても「これでいい」と思わないこと。逆転負けしたサントリーレディスでは2位タイに終わって悔し涙を流していた姿からも、高い目標を持っていることがよくわかります。
さきほどお話ししたようにロングシーズンになったことで、目標設定やモチベーションを保つことが難しくなっている中、彼女はしっかり自分を持って、努力を続ける才能があるということです。
先輩の青木瀬令奈さんに負けた試合も、稲見さんにとっては大きな糧となるはずです。あの悔しさが、彼女をさらに強くするのだろうな、と思いながら見ていました。
稲見さんの怒涛の勢いに押されているように見えますが、実は小祝さんもコンスタントに結果を残しています。今年に入って優勝こそ2回ですが、それ以外にトップ10入りが7回。それ以外にもしぶといプレーを見せ続けています。ロングシーズンになっているので、昨年、2勝しているのも大きいですね。
賞金女王争いも、2020~2021年のロングシーズンで考えます。今のところ小祝さんと稲見さん、古江彩佳さんがトップ3にいますが、笹生さんがどこでプレーするかなどの動向も含めて、全くどうなるかわからないのが現状です。
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