待ちに待った女子プロゴルフツアー開幕まであと2週間ほど。参戦予定の選手たちのトレーニングもいよいよ佳境といったところでしょうか。大会自体は3月3日(木)からですが、多くの関係者はその週の頭には現地入りをします。開催される沖縄県は本土より暖かいので、前週ぐらいから現地入りしてトレーニングをする選手も少なくありません。
今回の大会は4日間競技。そして、開催場所は沖縄県。多くの選手は、飛行機で現地入りして、ホテルに宿泊するという形になります。そこで必要になるのが、こういったものの予約という作業。これが、思ったよりも大変!そんな関係者の準備に関わる様々な事情に、焦点を当ててみたいと思います。
飛行機、レンタカー、ホテル…予約は争奪戦!
具体的に、開幕戦「ダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメント」の舞台となる、沖縄県の「琉球ゴルフ倶楽部」に行くと仮定して考えてみましょう。
まずは、移動手段の予約が必要です。現地に行くための手段として考えられるものは、飛行機、電車、車のいずれか。関東に自宅があると仮定した場合、沖縄に移動するためには、羽田←→沖縄那覇間の往復チケットの予約が必要になります。
プロゴルファーの場合、ただ空港に行けば良いというものではりません。選手の荷物は大量。キャディバックはもちろん、雨具も必要ですし、スパイクも数足持っていかなければなりません。帽子を含めたゴルフウェアも毎日同じものというわけにはいかず、6日分と予備のもの。それとは別に、コース外での服。プロアマのパーティーがある場合は、それ用の服や靴。気が付けば、スーツケースはかなり大きなものになってしまいます。宅急便であらかじめ現地に送っておくのももちろんですが、それらの荷物を運ぶために羽田空港まで自家用車で行くこともあります。そういった時は、羽田空港の駐車場の予約も合わせて必要になります。
次に、沖縄の那覇空港に着いてからコース、もしくはホテルまでの移動手段を考えなければなりません。しかも、滞在は1週間。コースとホテルを毎日往復。タクシーを使っても良いですが、経費削減のためや、移動の気軽さなどの理由から、レンタカーを借りる関係者がとても多いです。そんなレンタカーももちろん、予約が必要です。複数人で行動した方が経費の削減になることもあるので、数人でまとまってレンタカー1台を借りるといったこともよくあります。予選通過を見越して予約をするため、予選落ちした場合は現地での予約変更が必要になります。
沖縄での滞在先も予約が必要です。例に挙げた「琉球ゴルフ倶楽部」の場合は、那覇市内から南西に位置し、車で30分から40分という場所にあります。多くの関係者は、那覇市内のホテルに宿泊します。那覇市内は観光地でもあることから、宿泊先はたくさんあり、予約にはそれほど苦労することはありません。
問題は、宿泊先がありそうな駅や繁華街から遠い場所にあるゴルフ場で試合が開催される場合。周辺にホテルがほとんど無いとなると、関係者の中で予約の争奪戦になってしまうこともあります。予約が取れなければ、毎日の往復に高速道路を利用したり、時間もかなりかかってしまったりといったことも覚悟しなければなりません。オフィシャルホテルとして、ツアー関係者用に用意された宿泊先もありますが、もっと安価な宿泊先を探したり、何年も転戦している内に定宿ができていたりと、宿泊先事情は人それぞれです。
ツアープロ及び関係者は、それを年間数十試合分こなしていかなければなりません。予約の争奪戦を乗り切るために、誰かと協力して予約を手分けする関係者も少なくないのです。
ツアーのスケジュール発表と共に一斉に予約合戦が始まるため、予約先の電話が繋がりにくいこともしばしば。そのため、最近ではマネジメントの会社も増えて、そういったことは全てそちらに任せて、トレーニングに専念できる状況を作っている選手も多くなりました。
「毎週のように旅行ができて良いね」なんて気楽な物ではありません。関係者にとって、毎週の転戦は、こういった地味にも思える「予約」作業との戦いでもあるのです。
◆おだみなプロフィール
おだみな/元プロキャディ。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍プロのデビュー年からアメリカ本格参戦までの専属キャディとして転戦。現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。学生時代に家族の影響でゴルフを始め、ゴルフ歴だけは長いがスコアはイマイチ。