ボールの表面の凸凹、じつは数やカタチがボールによって違うことをご存じでしたか? このデコボコは「ディンプル」といい、すべてのゴルフボールに施されています。
ディンプルは、飛行中の空力性能を最適にするための工夫で、以下の3つの働きがあります。
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ディンプルは、ゴルフボールの“飛び”に大きく関係しています
①空気抵抗を抑制してくれる
②適度な揚力を与えてくれる
③方向安定性を高めてくれる
①と②は、たとえば、コアやカバーはまったく同じで、ひとつはディンプルあり、ひとつは凸凹のないつるつるなボールを打ったとします。すると、ディンプルありのボールが200ヤード飛んだとしたら、つるつるボールはすぐに落下してしまい、100ヤード程度しか飛びません。
ディンプルがないツルツルのボールは飛行中に空気抵抗をもろに受け、ボールを浮かせる力(揚力)が不足するため、すぐに失速してドロップしてしまうのです。
③は、たとえばボールの半分にディンプル、半分をつるつるにしたとします。その分かれ目を打つと、空気抵抗を大きく受けるつるつるの方に、ボールは曲がってしまいます。
このため、ボールにはどこで打っても同じように飛ばないといけない「対称性」というルールがあります。たとえばディンプルの位置の操作で、左右への打ち分けができてしまう可能性があるからです。
また、ディンプルは商品によってカタチや深さが違います。それぞれそのボールの特性に合わせてデザインされていますが、わかりやすいのが高さのコントロールです。
カンタンにいうと、ディンプルが浅いボール深いボールがあり(ちなみに、ひと目でその差を分かるほどの差ではありません)、ディンプルが浅いボールは高く上がりやすく、深いボールは低い弾道になります。
たとえば、奥行が狭い練習場などでは低弾道タイプのレンジボールが使用されていますが、そのディンプルはとても深いです。
ですから、女性向けのボールは浅いディンプルを用いられることが多く、上級者やプロ向けのボールは、弾道を抑えたいので深めになっている傾向があります。
◆大きさや重さにはルールがある!
ボールには、「45.93g以下、直径42.67ミリ以上」というルールがあります。
飛びすぎないように、という意図で設けられていますが、つまり重くて小さい方が飛ぶということがわかりますね。(もちろん、どちらも極端すぎれば飛びませんが)
小さめの方が、飛び出したとき空気抵抗が少なくなり、着弾しても芝の抵抗が少なくなるし、ある程度重い方が、それぞれ抵抗に強くなるわけです。
ほとんどのボールがこのルールの最大値に近い重さと大きさでつくられていますが、中には、とくにフェアウェイウッドやアイアン、パターなどで安心感がもてる少し大きめのボール(配合技術で調整しますので重くはなりません)や、非力な女性向けの少し軽量化したボールもあるので、ご参考に。
◆スコアアップしたいなら、いつも同じボールを使いましょう
最後に、“いいな”というボールが見つかればその日一日はもちろん、数ラウンドはそれを使ってみましょう。
アイアンの距離感やパットの距離感がよりつかめ、スコアも安定するはず。ラウンド中に頻繁にボールを変えると、たとえば同じ8番アイアンで打っても、前回と飛距離が大幅に変わってしまう、ということになります。
そうすると、マネジメントも変わってきますし、“スイングのせい”とカン違いしてしまうかもしれません。
また、ラウンド中にボールを変えると、“さっき乗った残り100ヤードが、同じ打ち方をしても乗らない”もしくは“まさかのグリーンオーバーしちゃった!”などということにもなりかねず、わけがわからなくなってしまいます。
また、新発売のボールは気になりますよね。ぜひ、試してみて自分好みなのかどうかをラウンドで、チェックしてみましょう。
女性なら、“たまにはボールを替えて、気分転換したいな”というときもあるでしょう。そういう場合は、同じボールの色違いを使ってみては。同じボールなら、色による違いはないので、安心して楽しんでくださいね!
いかがでしたか? ほんの少しでも、ボールに興味をもっていただけたらうれしいです。ぜひ、自分に合うボールを見つけて、ゴルフをもっとステキな時間にしてください!
◆教えてくれたのは…
吉本舞さん/USLPGAティーチングプロ。1990年生まれ。佐賀県出身。ツアープロコーチ、森守洋氏主宰の「東京ゴルフスタジオ」(東京都三鷹市)にて、レッスン中。細かくていねいな指導に定評がある。
撮影/福田文平 取材・文/たかはしよし子