ゴルフ場で楽しくゴルフをしていたら思わぬ事故が発生! 連絡するのは警察? 救急? それとも……? 誰に何を連絡すればいいのかわからず、パニックになってしまいますよね。今回はそんな事故発生時に焦らないですむよう、対応から用意する書類まで、女子ゴルファーで弁護士の山口めぐみ先生に解説してもらいました!
【1】コースで事故発生! まずはマスター室に連絡
ゴルフ場で事故が起きたら、すぐにマスター室へ連絡と憶えておいてください。ゴルフ場のスタッフは、事故の発生に備えて指導を受けているため、冷静に対処してもらえます。事故が起きた場所、怪我の状況などを聞かれると思いますので、落ち着いて答えましょう。事故の状況によっては、後続の組のプレイ進行について、マスター室から指示が出るはずです。また、怪我の状況によっては、救急車の手配などの連絡も行ってもらえます。
マスター室への連絡が終わったら、加入している保険会社にも連絡しましょう。保険会社の担当者の方が、事故や怪我の状況などを聴き取りしてくれ、保険金の請求に必要な書類を説明してくれます。説明にしたがってマスター室に証明書の発行等を求めるようにしましょう。
ゴルフクラブを破損してしまった場合や盗難に遭った場合も同様に、マスター室に連絡しましょう。マスター室への連絡が終わったら、加入している保険会社にも連絡しましょう。ゴルフクラブの盗難に遭った場合は、警察署への連絡も必要となる場合があります。
【2】保険会社から必要書類について指示を受けよう
治療費やゴルフクラブの修理費などのために、保険を使用する場合、保険会社から保険金の請求に必要な書類を指示されます。コース内での事故の場合、事故証明書をゴルフ場で発行してもらう必要があるので、事故が起こった事実をきちんと申告するようにしましょう。
必要書類一式(【3】で説明します)を保険会社に提出すると、保険会社の担当者が書類に不備がないかを確認してくれます。書類に不備がなければ、保険会社から指定の口座に保険金が支払われる流れになります。(※必要書類は、加入の保険会社ホームページで詳細をご確認ください)
【3】保険金を請求するために必要な書類って?
(1) 自分が怪我をしたときに使います。治療費、通院交通費、休業損害、逸失利益、慰謝料などが請求できます。
・ゴルフ場作成の事故証明書
・医療機関の診断書や領収書
・通院交通費明細書(※1)
・休業損害証明書(※2)
・給料明細書・源泉徴収票
※1通院交通費明細書とは
通院交通費明細書には、通院日時と通院時に負担した交通費を記載します。電車を利用した場合は、乗り降りした駅名を記入し、バスを利用した場合は、バスの区間を記入します。自家用車の場合の交通費は、1㎞あたり15円で計算して記入することが多いです。病院などで駐車場代がかかった場合は、念のため駐車場の領収書を取っておくようにしましょう。
また、タクシーなどの交通費がかかった場合は注意が必要です。タクシー代は、必要かつ相当な範囲でのみ認められることになります。タクシーを利用した事実を証明できるように、領収書は必ず取っておきましょう。
※2休業損害証明書とは
休業損害証明書とは、事故や怪我で仕事を休んだことによる損害を証明するための書類です。仕事を休んだ日と、事故前3カ月の収入を記載します。給与所得者の場合、勤務先に記載してもらいます。治療のために有給を使って仕事を休んでも、休業損害として保険会社に請求できることに注意が必要です。
(2) 個人賠償責任保険…他人に怪我を負わせ、損害を与えたときに使います。
眼鏡やゴルフクラブなどの物的損害、治療費、休業損害、逸失利益、慰謝料などが含まれます。
・ゴルフ場作成の事故証明書
・医療機関の診断書や領収書
・通院交通費明細書
・休業損害証明書
・給料明細書・源泉徴収票
ゴルフ場作成の事故証明書はご自身で提出する必要があるでしょう。その他の資料は、怪我を負わせてしまった方の損害を証明する資料になるので、保険会社の担当者が、被害者の方と連絡を取って集めてくれます。(医療機関の診断書や領収書、通院交通費明細書、休業損害証明書、給料明細書・源泉徴収票など)
(3) 携行品保険…ゴルフ用品が破損・盗難に遭った場合に使用します
破損事故の場合
・クラブが破損したときの写真(破損状況を確認するため)
・修理費の見積書など
盗難事故の場合
・購入時の領収書、クレジットカードの明細書など
・クラブセットの写真など(クラブの種類、本数の確認に使用するため)
(4) ホールインワン・アルバトロス保険…ホールインワン、アルバトロスを達成したときのパーティ代、記念品代、植樹費などの実費を補償します。
・キャディー付プレイの場合、キャディーからの申告(自己申告のみでは認定されないことに注意)
・ゴルフ場発行のホールインワン証明書やスコアカード
・パーティ代や記念品代などの領収書
※ちなみに、商品券など換金性の高いものは保険会社から認められないこともあります。どんなものが認められるのか、興味があれば加入している保険をぜひチェックしましょう。
【4】万一、加害者となってしまった場合の対応
事故の加害者となってしまった場合、真摯な対応を心がけましょう。「思ったより飛びすぎてしまって」、「悪気はなかったんです」、「そちらからも見えなかったの?」などといった発言から、被害を受けた方との話し合いがこじれてしまうこともあります。まずは、「お怪我はありませんでしたか」などときちんと対応するべきです。
事故が発生したら、相手方の名前、連絡先、電話番号、加入している保険会社などを相互に確認しましょう。保険会社の担当者が、事故後の連絡を行ってくれますが、自分から保険会社に相手方の情報を伝えると、保険会社からすぐに相手方へと連絡が行くので、スムーズに対応してもらえると思います。
◆教えてくれたのは…弁護士の山口めぐみ先生
梶山法律事務所所属。交通事故等の損害賠償請求、離婚、相続等の身近な法律問題から、契約書作成や労務相談など企業や経営者からの法律問題まで幅広く扱う。女性ながらの細やかで丁寧な対応からクライアントの支持も高い。かつ、ゴルフ歴7年のゴルフ女子。好きなクラブはドライバーで、パワフルなスイングを持ち味とする原英莉花選手を応援している。Instagramアカウントmegumi_lawyer Instagram ゴルフアカウントmegumi_golf