“プレーファスト”の塩梅は?せっかちなゴルフはときに迷惑なことも…【ハウスキャディ・B子は見た!】

こんにちは! ハウスキャディ歴●年のB子です。ベテランゴルファーの皆さんには当たり前の話かもしれませんが、普段、ラウンドではどれくらいの時間をかけてコースを回りますか? 一般的に、ハーフ2時間以内とか、2時間15分以内というのが、ゴルフ場ではよく言われる目安です。「その時間内でまわってください」という指標のようなものですね。

例えば2時間15分で回ろうと思うと、135分÷9H=15分。つまり、1ホールにかけることのできる時間は約15分。2019年から施行されたルールには「自分の打順が来てから40秒以内に打つ」というものがあります。4人でプレーしていて、それぞれがボギーで上がると仮定した場合、全てのショットに40秒かけたとすると、それだけで13分もの時間がかってしまいます。ティーイングエリアからグリーンまで移動していく時間を考えると、15分以内で1ホールを終えるためには、それなりの立ち回り方が必要になります。ビギナーの方であれば「クラブを数本持って走る」などですね。

「決められた時間内にラウンドを終える」というのは、キャディにとって大事な仕事のひとつ。前の組と離されたくないという気持ちは、おそらくはお客様よりも強く持っています。余裕を持って仕事をするためにも、前の組とはそれほど離れずにいたいというのが本音ですが、困ったことに、私たちキャディよりもせっかちにプレーを進めたがるお客様も、時にはいらっしゃるのです。

恐ろしい打ち込み事故!30ヤード以内は“打ち込み”と考えて

キャディにとって最も恐ろしいことの一つのが、打ち込み事故。前の組のプレーを待つ間、お客様からの「ナイスショットしても届かないから打ってもいい?」という言葉は、進行を気にするキャディにとって悪魔の囁きに近いものです。「それならば……」と打っていただけば、今日一番のナイスショット……! キャディにとって、大変恐ろしい「あるある」シチュエーションなのです。

打ち込みを防ぐために大切なのは、自分の飛距離を知ることももちろんですが、「前の組の30ヤード以内に打ってしまえば“打ち込み”である」と考えていただくことです。コースによっては、「50ヤード以内」としているところもあります。30ヤード手前に転がってきたボールは、前の組からはよく見えます。打ってこられた方としては、少し圧迫感のある距離ですよね。風の強さや転がり方によっては届いてしまう場合もあり、注意が必要です。

飛ばないからという理由でどんどん打ってしまう方も少なくありません。「50ヤード以内に入らなければ良いんでしょ」とばかりに、50ヤード周辺に後ろの組の方が勢ぞろいで待っていたりすると、前の組にとっては大きなプレッシャーになります。

後ろの組を気にしながらのゴルフというのは、あまり楽しくないもの。皆さまに楽しい一日を過ごしていただくために、それぞれが後ろの組ではなく、前の組のことを考えながらプレーしていただけたら、おそらくは誰もが平和な一日になるのに…と、キャディとしては思うのです。

急げばいいってものじゃない⁉ コース管理上の問題も

前の組に打ち込んでしまいがちなお客様は、後ろのお客様に気を遣い過ぎて焦ってしまうお客様と、性格的にせっかちなお客様に多いです。せっかちなお客様は待つことが苦手。時間内にラウンドを終えたいキャディにとってはとてもありがたい反面、そのせっかちぶりに困ってしまうことも少なくありません。

ゴルフのスタート時間って、皆さん何時ぐらいが多いですか? 8時から9時過ぎぐらいが一番多いスタート時間だと思いますが、時にはラウンド終了後に打ち上げをするとか、ひと仕事終えてからプレーをするといった理由で、遅いスタートを希望されるお客様もいらっしゃいます。それとは逆に、朝一番のスタートを希望されるお客様もいらっしゃいます。ラウンド後に用事があったり、“待つことが苦手だから”というのも大きな理由のひとつです。

朝イチのスタートで時間をかけてしまうと後半の組にまで響くので、キャディにとっては最低でも2時間以内にプレーを終わらせたいところですが、時に1時間半もかからずに終わってしまう場合があります。前に誰もいないので気持ちよくプレーできる朝一番は、待つことが苦手なお客様にとっては最高のスタート時間なのです。

スタートの20分ぐらい前から、まだかまだかとスタートホールでお待ちになられるお客様もいます。そんなお客様がいらっしゃる組の前の組のキャディで、自分の組のお客様がまだ来ていない場合など、胃に穴が開いてしまいそうです。

ただし、後半のホールではコース課による作業がまだ行われている場合があります。「あまり早く来ないで」と言われてしまうこともあります。時間をかけないことばかり考えているキャディにとって、せっかちなお客様にゆっくりとプレーしてもらうというのは至難の業。遅すぎるのはNGですが、早すぎるのもNGということなのです。せっかくお金と時間をかけて楽しんでいただくラウンドですから、「早すぎるかな」と思ったら時にはじっくりとコースの景観や同伴者との会話を楽しんでいただきたいと思うB子なのでした。

◆キャディのB子 プロフィール

キャディのB子/あるゴルフ場のアルバイトキャディ。学生時代に家族の影響でゴルフを始め、大学のゴルフサークルに所属。就職活動に失敗し、ハウスキャディのアルバイトをして就職先を探すはずが、キャディが天職と気づく。シャンクが一番の敵。

おすすめの関連記事