2021年12月09日-12月12日にハイランド・オークスGC(アラバマ州)で実施された、「LPGA Qシリーズ」とは、来季の米国女子ゴルフツアーへの参戦権をかけた最終予選会です。日本からは渋野日向子プロと古江彩佳プロが参戦しました。女子ツアー人気を牽引する2選手が出場するという事で、各メディアで連日スコアとコメントが伝えられましたが、「そもそもQスクールって何?」と思った方も多いのではないでしょうか。その仕組み、皆様わかりますか?
プロキャディである筆者にとっても小難しく感じる米国女子ツアー出場権の仕組み。今回、皆様にわかりやすくお伝えすべく、改めて調べてみることにしました!
米国女子ツアーに参戦するためには?
米国女子ツアーに参戦するための道はいくつかあります。
【1】出場した大会で優勝する
まず、スポットで参戦した大会で優勝することで出場権を得る方法です。
渋野プロは、19年の全英女子オープンで優勝しました。それによって権利を得たのですが、20年のシーズンに参戦するためにはそれが始まる前にツアーメンバー登録をしなければならず、その時は準備ができていないという理由から登録を見送りました。
2007年に日米共催の大会で優勝した上田桃子プロは、その権利で翌年からアメリカ女子ツアーに参戦しました。
【2】ノンメンバー40の資格
あまり聞き慣れませんが、ノンメンバー40という資格もあります。これは、CMEポイントランクの40位以内に入ることで翌年の出場権を得ることができるというものですが、そのためには、推薦などで大会に出場し、ポイントを獲得する必要があります。
CMEポイントは、アメリカ男子ツアーのフェデックスポイント、日本女子ツアーのメルセデスポイントのように、賞金によるランキングでは無く、順位に応じたポイントで競うランキングの事です。大会によって賞金額に差があるため、それに左右されないポイント制が主流になってきています。
【3】 Qシリーズで45位以内に入る
そして今回、古江プロと渋野プロが目指した道が、このQスクールへの挑戦です。
Qスクールって何?
Qスクールとは「Qualifying School」の略で、ツアープロの認定試験のことを言います。ファーストステージ、セカンドステージ、そしてQシリーズと言われる最終ステージの3ステージで構成されています。この試験に合格することで、ツアープロとしてプレーをすることができるようになります。
世界ランキングの75位以内であれば、最終予選会であるQシリーズから参戦することができるため、古江プロと渋野プロはその権利で出場しました。
日本の場合は、男女ともにプロ認定試験(プロテスト)とQT(Qualifying Tournament)とに分かれていますが、Qスクールは日本で言うところのプロテストであり、QTでもあるということです。
かつて宮里藍プロが、Qスクールの前進である予選会に挑戦したのが2005年のこと。その時はファーストステージとQシリーズの2ステージで、最終ステージであるQシリーズは18ホール×5日間の90ホールでした。
しかし、2018年に変更があり、現在ではファイナルステージを含めて3ステージとなり、Qシリーズは2週間かけて8ラウンド行われるようになりました。4ラウンドの時点で予選カットもある長丁場で、上位45位までに来季の出場権が与えられます。それがまさに、古江プロと渋野プロが挑戦したものになります。
ただし、Qシリーズで45位に入ったからといって、全ての大会に出場できるというわけではありません。大会に出場するための資格は大会によって決められていて、その優先順位も大会概要に明記されているのですが、そのほとんどの大会の出場資格の最後に「Qスクール上位者」が来ます。つまり、資格が何位まで下りて来るかによって出場できるかどうかが決まるので、はっきりと「どの大会に出場できるか」ということはわからないのです。Qスクールは、日本のQTと同様に出場資格の優先順位を決めるものでもあるため、上位に行けば行くほど出場できる大会も増えることになります。つまり、ひとつでも良い順位で終わることが重要になります。
20位以内に入ればより多くの大会に出場できると言われています。今回出場した古江プロと渋野プロは、それぞれ7位と20位ということですから、多くの大会でその名を目にすることができそうですね!
◆おだみなプロフィール
おだみな/元プロキャディ。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍プロのデビュー年からアメリカ本格参戦までの専属キャディとして転戦。現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。学生時代に家族の影響でゴルフを始め、ゴルフ歴だけは長いがスコアはイマイチ。