スタート時間ギリギリにコースへ到着。着替えや準備でとてもドライビングレンジでボール打つ時間はない。そんなときにお勧めなのがストレッチ。ケガを防止するだけでなく、スムーズにスイングをする手助けをしてくれるはず。今回はすべてのゴルファーに役立つ簡単ストレッチについて、国内女子ツアーで2勝を挙げている西山ゆかりプロがアドバイスします。
Q:いつもスタートの3ホールぐらいはいいショットが出ません。体が思いどおりに動かない感じもします。何かいい方法はありますか?
A:スタート前に肩周り、脇腹、股関節のストレッチをしてみましょう!
ここで問題です。ツアープロは必ずスタート前に行っていますが、アベレージゴルファーがあまり行わないことって何でしょう? ショットの練習やショートゲームの練習ではありません。正解は、ストレッチです。朝、ホテルを出発する前に行う人もいれば、コースへ来てからお風呂場の脱衣場で行う人もいます。割と時間をかけて入念に体を伸ばす人が多いですね。
ストレッチの目的としては、ケガの防止もありますが、それ以上に体の可動域を広げることにあります。ゴルフスイングは日常生活にはない体の動きや普段は使わない筋肉を使いますよね。そのため、可動域を広げておかなければ、自分のスイングに支障が出てくるんです。例えば、バックスイングで肩を回しますが、体が硬いままだとトップでの肩の入りが浅くなります。あらかじめ肩の筋肉を伸ばしておくからこそ、深いバックスイングを行えるのです。体の可動域が広がれば、バックスイングも大きくなり、その分スイングスピードが上がって飛距離もアップします。
皆さんも自分がスタートするまでに肩周り、脇腹、股関節の筋肉を伸ばしておきましょう。そうすることで、パフォーマンスが上がり、体を強くしなやかに使えるようになるので、自然とゴルフが楽しくなりますよ。
ストレッチのやり方ですが、まずは肩周りから。直立した姿勢から左腕を右肩に向かって水平に伸ばします。左腕の上腕を曲げた右腕でロックしたら、右腕を手前に引きましょう。左肩の筋肉が伸びていることを感じるはずです。同様に逆パターンを行い、右肩の筋肉を伸ばします。
次に脇腹です。直立姿勢から左足を一歩前に出します。左手を脇腹に当て、右手は頭の上方にくるようにして、上体を左に傾けましょう。右脇腹の伸びを感じるはずです。これも逆場ターンを行い、左の脇腹も伸ばします。
肩甲骨周りの筋肉も伸ばしてください。直立姿勢から左ヒジを右手で持ち、左ヒジを下に向かって押します。逆パターンも行いましょう。
水平に伸ばした左腕を右腕でロックして肩の筋肉を伸ばします
脇腹もしっかり伸ばしましょう。運動不足の人はつりやすいので要注意
肩甲骨も伸ばしましょう
さらにワンポイント!お尻で8の字を描いてみましょう!
ストレッチでは上半身だけでなく、下半身も伸ばします。特に大切なのが股関節です。両足を思い切り開いて、腰を落とした姿勢をつくります。その状態からお尻で8の字を描きましょう。10回ほど描いたら、今度は逆8の字を描きます。
上体と下半身の筋肉や関節が緩んだら、実際にクラブを持ってスイングしてみましょう。ストレッチを行う前と行った後とでは、明らかにトップの大きさが異なるはずです。両手の位置、肩の回り具合、体重の乗り方など、無理なく正しいスイングができるため、結果的にミート率が上がり、方向性もアップします。極端な話、ストレッチとボールを打つ練習のどちらかしか行う時間がなければ、私はストレッチを選択することをお勧めします。
足を大きく広げて腰を落としたら、お尻で8の字を描くと、股関節周りの筋肉が緩みます
ストレッチを行う前と行った後とでは、トップの大きさが明らかに異なります
◆教えてくれたのは…西山ゆかりプロ
1982年生まれ。神奈川県出身。2008年に26歳でプロテストに合格し、30歳でステップ・アップ・ツアー初優勝、33歳でレギュラーツアー初優勝。国内女子ツアーでは2勝を挙げている。
◆取材協力/藤沢ジャンボゴルフ
300打席、最長266ヤードと日本でもトップクラスの規模を誇り、広々としたキレイな施設がゴルフ女子にも愛される「藤沢ジャンボゴルフ」は、今年50周年を迎える大型練習場。より“上達”できる優れた練習環境を追求し続けるとともに、女性支配人の理念による抜群のホスピタリティで「充実したゴルフライフのサポート」「居心地の良い空間」を提供してくれる“ゴルファーのオアシス”! 打席には様々なライを再現した傾斜打席や測定器を兼ね備えた特別打席もあり、アプローチ練習場、バンカー打席、パッティング練習場も備えています。
撮影/村上悦子 取材・文/山西英希 取材協力/藤沢ジャンボゴルフ