こんにちは。佐伯三貴です。今日はゴルフをもっと楽しむための、ちょっとしたポイントをお話ししましょう。
老若男女が一緒にできるゴルフには、楽しみ方もいろいろ。あらためてその奥深さを感じさせてくれます。
ご存じのようにプロとして競技をしてきた私は、たくさんのプロ仲間を見てきました。プロの試合は皆さんが描く「楽しむ」と言うのとは少しイメージかもしれません。でも、最高のレベルで技術を競い合うのは、経験した者にしかわからない究極の楽しみと言えるでしょう。
もちろん、それ以外の楽しみもたくさん経験しています。多くのアマチュアの人と一緒にプレーすることで、皆さんがどんな風にゴルフを楽しみ、ゴルフを通じて世界を広げているのかをお聞きする機会も数多くあります。最近は、後輩や学生たちの指導をする中で、彼らの成長を見守るという新しい楽しみも味わせてもらっています。
スマホのゴルフアプリを使って、新たな楽しみ方が広がる!
そんな中で、最近、友達の多くが夢中になっているのを見かけるのが、スマホのゴルフアプリを使ってのゴルフの広がりです。何種類ものアプリがあるようですが、友達と同じアプリをインストール。平均ストロークやフェアウェーキープ率、平均パット数などが出るので、スコアだけでなくいろいろなものを競い合っています。
自分の得意、不得意がわかる、つまり自分を知ることができるので、練習のポイントもよくわかります。でも、それ以上に、友人たちが子供みたいなノリで一つ一つの数字(スタッツ)を比べ合って「勝った」「負けた」と大騒ぎしているのが本当に微笑ましいです。「遊んでいる」と言う言葉がピッタリはまります。スマホ時代ならではの新しいゴルフの楽しみ方だと思うので、ぜひ、試してみてください。
ミスをしても、“死にゃーせん”の気持ちで
コースデビューから間もないころは、池やOBバンカーがすごく怖かったり、嫌だったりするかもしれません。でも、ボールは「気持ちで曲がる」ものです。不安になって避けようとすればするほど、そっちに飛んで行ってしまいます。私は子供の頃、こんな風に思っていました。「池に入ってもOBしても死にゃーせん」と。故郷広島の方言ですが、そう考えると気持ちがとても楽になりました。
私たちプロが優勝争いをしている時には、名誉だけでなく、1打に何百万、何千万円のお金がかかることがあります。一方で、シード権、つまり生活がかかることも。だから割り切ることは難しいですが、それでも、失敗したからと言って「死にゃーせん」のです。
みなさんの場合はどうでしょう?友達との勝負には負けたくないかもしれません。時にはランチくらいかかっていることもあるでしょう。でも、仕事ではなく賞金もかかっていません。大叩きしたからと言って、インタビューで理由を聞かれることもありません(笑)。まして「死にゃーせん」のです。こう考えたら肩の力が抜けませんか?
バンカーショットが苦手と言う人には、こんな風にアドバイスをすることもあります。プロのようにカップに寄せたり、スピンをかけるというのではなく、バンカーからの脱出だけをまずは考えることです、と。
どうしても「ボールを上げなくちゃ」という意識が強くなり、やってはいけないことを次から次へとしてしまいがちです。状態に力が入ってしまって、顔を早く上げてしまう。挙句にクラブの下のほうにボールが当たってしまう・・・。これ、すべて逆なんです。
重心はできるだけ下においてどっしりと構えたら、大根を切るようにクラブを右斜め上に上げてボールの手前の砂ごと打ちます。インパクトで手加減などせずに思い切り、です。
プロのようにピタリとピンに寄せたりすることはできないかもしれませんが、とにかく苦手なバンカーから脱出することを第一に考えれば、これが一番です。
バンカーに入っても、脱出できなくても死にはしない。でも脱出方法さえ知っていればもっと気持ちは楽になります。
こんな風に不安要素を一つずつなくして、肩の力を抜くのもゴルフを楽しむコツです。アプリ導入の新しい方法も含めて、皆さんなりの楽しみ方を見つけてみてください。世界は無限に広がるはずです。
取材・文/小川淳子 写真/Getty Images