3年前の全英女子オープン、渋野日向子プロの優勝を決めたバーディパットに悲鳴を上げたのは私だけではないはず。あまりにもしっかりとヒットされたボールが、カップに吸い込まれた…そんなパットから3年。
今年もいよいよ 「AIG女子オープンゴルフ(全英女子)」が開催されます。会場はスコットランドにある「ミュアフィールド」です。
全英女子オープンの歴史
2001年にメジャートーナメントへと昇格した全英女子オープンは、その大会自体は1976年に創設されました。先日150回大会を迎えた男子の全英オープンと比べればまだまだ歴史の浅い大会ではありますが、女子が入れなかったゴルフ場の歴史を考えれば、女子ゴルフの世界では歴史ある大会と言えるでしょう。
大会の正式名称は「AIG女子オープンゴルフ(AIG Women’s Open)」。元々は「全英女子オープン(Women’s British Open)」という名称で開催されていましたが、冠スポンサーである保険会社のAIGが、2020年に「全英」の部分を取り、「女子オープンゴルフ(Women’s Open)」に変更しました。
男子の全英オープンは、「The Open」。地名が入っていない…つまり、区別するべき他のメジャートーナメントが無かったことがわかる名前であることから、女子もそれに倣ったのだろうと想像できます。
オープン以来女人禁制だった!開催コース「ミュアフィールド」ってどんなところ?
会場はイギリス国内にあるゴルフ場の持ち回りで開催されることになっています。しかし、男子の様にリンクスコースに限られているといったことはありません。渋野プロが優勝した2019年大会が開催されたウォーバンゴルフ&カントリークラブも、内陸にあるゴルフ場でした。
今回開催される会場は、ミュアフィールド。男子の全英オープンが何度も開催されている由緒ある会場で、私も2002年の全英オープンの際にキャディをさせていただきましたが、野原の先に突然その姿を現わすようなゴルフ場でした。緩やかな起伏があるだけのほぼ平らなコースで、ラフが長く、目印になるようなものがほとんど無いため、ターゲットを見つけるのが大変難しかった、そんな記憶があります。
オープン以来女人禁制であったことから、一度は全英オープンの開催会場から外された時期もありましたが、2017年にその規則を撤廃して女性会員を認めたことから、再び全英オープンの会場のひとつとなりました。
女性会員に関する似たような事例は多々ありましたが、毎年マスターズが開催されているオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブが2012年に女性会員を初めて認めたことで、そういった動きが世界的に加速したような気がします。
ゴルフの聖地と呼ばれるセント・アンドリュース・オールドコースも2013年になってやっと初めて全英女子オープンが開催され、2015年に女性会員が認められるようになったことで話題になりました。日本でもオリンピックの際に、同じような問題が浮上したのは、記憶に新しいですね。
元々は、王室や貴族の男性たちにとっての遊びであり社交の場でもあったと言われるゴルフ倶楽部。ドレスで着飾っているような女性たちがプレーすることは考えられていなかったのでしょう。後の女性蔑視の風潮に乗るように女人禁制という形になりましたが、つい最近までそのルールが残っていたというのだから驚きです。伝統を重んじるからこそ、古い体質から抜け出すことが難しいという特徴を持つ「ゴルフ」というスポーツならではなのかなと思います。
オープンから280年近く経って、やっと女人禁制の規則を撤廃した伝統あるミュアフィールド。そこで開催される今回の全英女子オープンは、そういった観点からも大きな意味を持つ大会と言うことができるでしょう。
日本人選手は過去最多の12名!
渋野日向子プロ・畑岡奈紗プロ・笹生優花プロ・古江彩佳プロ・西村優菜プロ・西郷真央プロ・堀琴音プロ・稲見萌寧プロ・山下美夢有プロ・藤田さいきプロ・高橋彩華プロ・橋本美月アマ
19年覇者の渋野日向子プロ、前週のスコットランドオープンで優勝した古江彩佳プロを筆頭に、12名もの日本人選手が出場する今回の全英女子オープンは、盛り上がること間違いなしです。寝不足になってしまうことは覚悟の上で、ぜひみんなで応援しましょう!
◆おだみなプロフィール
おだみな/元プロキャディ。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍プロのデビュー年からアメリカ本格参戦までの専属キャディとして転戦。現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。学生時代に家族の影響でゴルフを始め、ゴルフ歴だけは長いがスコアはイマイチ。