ママプロゴルファー大集合!ジュニアと一緒に試合は大盛り上がり【Lalaクイーンズカップレポート】

真剣勝負の合間には笑顔があふれ、クラブハウスには子どもがいっぱい―――そんな素敵なイベントが、9日、岡山県の後楽GCで開催されました。

◆ママたちの真剣勝負!ジュニア育成の側面も

中学生以下のお子さんを持つママプロゴルファー38人と、ジュニア19人が出場したLalaクイーンズカップ。岡山県の会員制子育て応援組織『LaLa Okayama』10周年記念事業として行われ、プロ2人にジュニア1人が1組でプレーし、プロの部、小学生の部(男女)中学生女子の部の4部門の18ホールストロークプレーです。

ワーキングマザーであるプロたちのライフスタイルは様々です。レギュラーツアー、ステップアップツアー、レジェンズツアーなどでプレーしているプロもいれば、レッスンを中心に活動しているプロもいます。プロアマやイベント、解説やラウンドレポーターなどの仕事をしているプロもいます。いずれも子育てという仕事との両立に様々な工夫をする中でのこと。トレーニングや練習を気のすむまでするという、自分中心の生活ができているわけではない中で最善を尽くしていることが伝わってきます。

総額475万円、優勝70万円の賞金がかかった試合だけに、プレーはもちろん真剣勝負。一緒に回ったジュニアは、その姿から、技術だけでなくマナーやコースマネジメント、試合への取り組み方を学んでいました。

ママであるプロばかりとあって、子供に接することには慣れています。他人行儀に気を使ったり、やたらに厳しくなったりすることがなかったのは、18ホールをプレーし終わるころの様子から伝わってきます。赤ちゃんの時から知っている親戚の子供か、我が子の親しい友達のように子供と話すプロ。真剣な表情と笑顔でプロにお礼を言うジュニア。そんな光景がたくさん繰り広げられました。

◆ ママゴルファーの課題を解決。クラブハウスには子供たちの姿

出場選手ばかりではありません。クラブハウス周辺にも夏休みらしい様子があふれます。ママたちを待つ子供たちがいたからです。
元々は、託児所を用意してママプロたちに子供を連れて試合に出てもらうことが計画されていたのですが、新型コロナウイルスの感染がまたしても拡大したため、残念ながら中止になりました。子供たちから家族への感染が広まることが多かった状況を考えれば仕方のないことだったのでしょう。けれども、夏休みの子供をどうするか、はワーキングマザーが抱える大きな悩み。これにイベント側が応えてくれました。

子育て応援組織主催とあって”キッズルーム“が用意されたのです。できる限り、付き添いの大人がいるのが望ましい。けれども、本当に無理な場合のみ、スタッフがケアしてくれていたのです。

子供の安全と安心を最優先にしながら、仕事にも支障をきたさない。ワーキングマザーの事情をわかって対応してくれたことで、プロたちは安心して試合に臨むことができたのです。

キッズルームをのぞいてみると、フロアクッションが引かれたうえでレゴに熱中する幼児たち、デスクでゲームに夢中の小学生。お昼寝中の赤ちゃんなどがそれぞれの時間を過ごしていました。ハーフターンのママに会うのも簡単です。炎天下に出るのはママがホールアウトしてくるころ。ママに飛びつくちびっこの姿も少なくありませんでした。

◆女子プロゴルファーの将来に選択肢を。広まる子育て支援の輪

試合は5アンダーでプレーした佐藤靖子プロが優勝し、3アンダーの北田瑠衣プロ、福嶋晃子プロが2位タイで閉幕。「ジュニアの前で恥ずかしいプレーはできない、といい緊張感の中でプレーできました」と勝因を口にした佐藤プロは、実は大会開催のきっかけを作った一人です。日頃はステップアップツアーを中心にプレーしており、試合の時はパパやおばあちゃんとお留守番している長女、ななみさん(小3)も、この日はキッズルームでママを待っていてくれました。ホールアウトを待ち構えて抱き着き、表彰式の後もママと一緒に笑顔で写真に収まってくれました。

2位タイの福嶋プロは、地元岡山在住。1996年、97年と2年連続賞金女王に輝き、日本ツアー24勝。米ツアーでも2勝を挙げている実力者です。長男、和樹さん(小3)出産後は子育て中心で、時折、試合でプレーする生活を送っています。ソフトボールに熱中している和樹さんも、スタートではママのボールの行方を追って見送り、キッズルームでママを待っていてくれました。おばあちゃんも来てくれていたのですが、多くの時間をキッズルームで過ごしていました。

2位タイの北田プロは、自宅が宮城県と遠く、お子さんが4歳と2歳と小さいこともあり、今回は単身での参戦でした。10人の大家族でお子さんを預けられるという事情もあります。それでも「上の子だけでも連れて来ればよかった」と話していました。イベントそのものの根底に、子育て応援の空気が流れていたからでしょう。

LaLaOkayama実行委員会に名を連ねる株式会社おもちゃ王国の高谷昌宏代表取締役社長が、こんな話をしてくれました。「子供関連事業をしている立場から、子育てに対する理解が広がって欲しいというのが重要なメッセージです。今回は岡山でのイベントでしたが、各都道府県で広まってくれればと思っています」。

実は、まだ若く、現役バリバリでツアーで活躍しているプロたちも、先輩プロたちのライフスタイルには興味を持っています。妊娠、出産後もプロとして様々で活躍するその姿は、彼女たちにもたくさんの選択肢を与えてくれるのではないでしょうか。

様々な可能性を秘めたLalaクイーンズカップ。こうしたイベントが、進化しながら広がり、続いていくことを願っています。

取材・文/小川淳子

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