みなさん、人生楽しんでいますか?若林舞衣子です。
前回のコラムでは、家庭内で新型コロナウイルスに感染してしまい、シーズンのスケジュールが狂ってしまった…というお話をしました。3試合休んで、ツアーに復帰できたのが4月後半のフジサンケイレディス。最初は大変でしたが、徐々にペースを取り戻していきました。
ただ、3週間休んで落ちてしまった筋力が戻るのには、どうしても時間がかかります。最初はショットがあまりよくなかったのですが、体のキレがあるときにはよくなってきました。パッティングも含めたショートゲームのほうが、試合を離れた分、カンが戻るのに時間がかかった気がします。
◆シーズンを振り返り……師匠である岡本綾子さんのアドバイスで、いい流れを継続できた
去年優勝したGMO・インターネットサマンサタバサグローバルカップで連覇を狙いたいと思っていたのですが、試合そのものがなくなってしまったのは残念でした。
6月のサントリーレディスでは、久しぶりに師匠の岡本綾子さんにゴルフを見ていただきました。前の週に所属先ヨネックス主催の試合で予選落ちした私を心配して、わざわざ足を運んでくださったのです。
以前は、試合会場でゴルフを見ていただくことも多かったのですが、最近、特にコロナ以降はできなくなっていました。動画を送って、紙に描いた絵で解説してもらったりはしましたが、試合会場で見てもらうのは本当に何年かぶりでした。知らない間に出ていたクセをあっという間に修正していただき、めっちゃショットが良くなって本当にありがたかったです。
この試合ですぐ、ではありませんが、翌週からは立て直すことができて、いい流れで試合を続けられるようになりました。8月末のCATレディスでは、初日首位タイ。最終日、最終組で優勝争いをすることもできました。最終日は、ショットが乱れがちでパットも今一つ。残念ながら7位タイに終わりましたが、今季初めてトップ10入りしたことで確かな手応えがありました。残りのシーズンで優勝目指して頑張ろうと改めて思いました。
シーズン後半の課題はやはりパッティングとショートゲーム。ショットがいい時には強力な武器になるし、悪い時には助けになる。ショートゲームに自信が持てれば、ショットにもプレッシャーがかかりません。
◆自分を知って、コントロールする『ビジョン54』の考え方
試合が続けば、当然、身体的にはきつくなってきます。それを上手にコントロールするのも、私たちの仕事の一つ。疲れると私は腰が痛くなったり、動きが硬くなるので、肩甲骨周り、股関節周りのケアには気をつけています。
ただ、少し体にハリがあるくらいの時の方が、感覚的には鋭敏になります。その辺りを含めて、自分をしっかり知ってコントロールしたいと思っています。
メジャー10勝を含めて米ツアー72勝で、現在はIGF(国際ゴルフ連盟)の会長もしているホール・オブ・フェイマー、アニカ・ソレンスタムさんも取り組んだ『ビジョン54』と言う考え方があります。ピア・二―ルソンさん、リン・マリオットさんが提唱するものです。パー72の18ホールすべてでバーディーを取った場合のスコア『54』に向かうものです。
私も勉強してみたのですが、その第一歩が「自分を知ること」でした。
人間は、自分で思っているより、自分自身のことを知らないものです。常に自分と向き合うことが必要なゴルフと言うスポーツをする以上、それを知ろうとすることかがとても大切なのです。
自分自身の心も体も知った上で、その変化にも対応しながらゴルフをする。現在の私に少し具体的にあてはめれば、身体のケアと練習時間のバランスを取りながらゴルフに向き合い、一方で家族を中心にしたプライベートの時間も大切にする。そんな風に考えています。
◆最近の龍之介くんは…?すごくおしゃべりになりました!
ゴルフの話ばかりになってしまいましたね。プライベートの話も少しさせてください。
最近、息子の龍之介に、食べ物の好き嫌いが少しずつ出てきました。というか、うまく飲み込めないものがあるみたいです。好きなものはミートボールやつくね、そぼろ丼やカレーなど、柔らかくて飲み込みやすいものが多いようです。
それに、すごくおしゃべりになってきました。こちらから「保育園どうだった?」と尋ねると「何もなかった」と、そっけないのに、自分からはものすごく話してきます。「ママ、ママ」と、その日、保育園であったことを次から次に話し続けています。布団に入ってからもずっと話しているので、ママは寝たふりすることもあるほどです(笑)。
おかげで、私があまり保育園に顔を出せなくても、龍之介のお友達の名前をたくさん覚えることができるのは、うれしいですね。おしゃべりの時間は、とても愛おしいです。
若林舞衣子 Maiko Wakabayashi 1988年生まれ、新潟県出身。165cm。11歳からゴルフをはじめ、アマチュア時代から活躍。2007年、プロテスト合格。翌年2008年「SANKYO レディースオープン」を20歳で初優勝。2016年に結婚し、2018年11月から産休に入り、2020年にはツアー復帰。21年の「GMOインターネット・レディース サマンサタバサグローバルカップ」ではツアー史上6人目のママさん優勝を達成。ツアー通算4勝。インスタグラム Instagram@maaaiko
取材・文/小川淳子 写真/Getty Images