国内女子ツアー第4戦、アクサレディスゴルフトーナメントでツアー初優勝を飾った山内日菜子プロ。なんと今季はツアー出場のシード権がなく、QTランキングも181位と、下部ツアーのステップアップツアーにも出場できない状況でした。今回は、地元宮崎県出身で開催コースとも馴染みがあったことで推薦出場の末、悲願の優勝を飾ったのです。
でも、そもそもQTランキング181位って何でしょう? そして優勝はどのくらいすごいのでしょうか。今回からゴルフが大好きなRegina読者に向けて、ゴルフにまつわる「数字」をヒントにその魅力を解説していきます! これさえ読めば、もっとゴルフがしたくなる! 楽しくなるはずです♪
◆ファイナルQTに進めなければツアー出場は難しい
QTランキングのQTとは「QUALIFYING TOURNAMENT」の略称で、国内女子ツアーに限らず、男子ツアーでも毎年行われています。女子ツアーの場合は、これまで何度か開催方式が変わり、現在は全国3カ所で行われるファーストステージと、その上位に入ったプロのみで開催されるファイナルステージに分かれています。ファイナルステージは4日間行われ、その成績で昨年は1位から96位まで順位づけられました。ちなみに、ファーストステージで終了したプロを含めると、310位までランキングされています。
通常、トーナメントに出場できるのは、メルセデスランキング上位50人、前年度ツアー優勝者、5年以内の公式競技優勝、4年以内のメルセデスランキング1位などです。さらにメルセデスランキング51位から55位、ステップアップツアーの賞金ランキング2位までのプロには前半戦の出場権が与えられます。その後で、QTランキングの上位者や主催者推薦プロが足りない枠を埋めていきます。
大会によって出場人数が異なるため、QTランキングの上位に入っていなければ、出場できないケースも少なくありません。例年、30位台ならばある程度の前半戦は出場できる感じです。したがって、それより下位のプロはもちろん、ファイナルステージに進めなかったプロは1試合も出場できないと考えた方がいいでしょう。主催者推薦を獲得することに賭けるしかありませんが、その枠も非常に狭いだけに、やはり簡単に出場することはできないと考えるべきです。
◆QTランキング181位からのツアーV記録は破られない!?
アクサレディスゴルフトーナメントで涙のツアー初優勝を飾った山内日菜子プロはQTランキングが181位。つまり、ファイナルQTには進めませんでした。今回は地元宮崎県の出身であり、開催コースとも縁があったので主催者推薦を手にすることができたと言います。したがって、大会後はどの試合に出場できるのか、何も決まっていない状況でした。
「試合中は何も考えていませんでしたが、優勝した後に翌週の試合に出場できることや最終戦のJLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップにも出場できることを改めて聞いて、ものすごく嬉しかったです」と山内プロ。もちろん、今季は大半の試合に出場できるし、来年のツアー出場権も獲得しています。まさに、“一寸先は闇”状態から一気に視界が開けたわけです。
聞けば、主催者推薦で優勝したプロはこれまでにも数名いるとのことですが、ファーストステージで失敗し、QTランキング181位のプロがツアーで優勝したことはないそうです。にもかかわらず、山内プロが勝てたのは、何といっても開催コースのUMKカントリークラブを知り尽くしていたからでしょう。
「小学3年の頃から回り始め、今でも週イチではラウンドしています」と言うように、コースの隅々まで知り尽くしているとのこと。「ショットは良くなかったけど、ミスしてもこっちからなら大丈夫と頭の中に入っていました。もしも知らないコースだったら、ボギーを叩いたり、OBを打ったりしていたと思います」と振り返っていました。
まさに地の利を生かした山内プロですが、そんな運があっての勝利だけに、しばらくはQTランキング181位からのツアー優勝という記録は破られないでしょう。
◆山西英希/プロフィール
スポーツライター。ゴルフを中心に幅広く取材、執筆。