【暫定リランキング1位】は安田祐香プロ。でも……リランキングってナニ?【数字でスゴさを読み解く国内女子ゴルフツアー】

国内女子ツアー第9戦、パナソニックオープンレディースでは、穴井詩プロが今季2勝目を飾り、メルセデスランキングのトップに躍り出ました。ただ、その裏ではもう一つの熾烈な戦いが行われているのをご存知でしょうか。それは【リランキング】です。でも、リランキングと聞いてきちんと説明できる人、そう多くはないはず。

今回もゴルフにまつわる「数字」をヒントにその魅力を解説していきます! これさえ読めば、もっとゴルフがしたくなる! 観戦が楽しくなるはずです♪

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◆前半戦しか出場できない選手を並べ替え!それがリランキング

熱い戦いが続いている国内女子ツアーですが、出場するにはメルセデスランキング50位以内に入る必要があります。では、翌年のシード権を獲得できなかった選手はどうするのでしょうか。51~55位の選手、ステップアップツアーの賞金ランキング上位2人であれば、翌年の前半戦出場権が与えられます。公式戦優勝者や永久シードを持つ選手も出場資格があります。ただそれ以外の選手は、QUALIFYING TOURNAMENT(クォリファイングトーナメント、QT)に出場し、上位に入るしかツアー出場の資格を獲得するしかないんです。

しかも、たとえQTランキング1位になっても、全試合に出場できるわけではないんです。前半戦の出場権しか与えられません。

えっ、じゃあ後半戦のためにまたQTを開催するの? と思う人もいるでしょう。残念ながら違います。51~55位の選手、ステップアップツアーの賞金ランキング上位2人、QTランキング上位から下位までの選手を全部ひっくるめて、今季稼いだメルセデスランキングのポイント順に並べ替え、その上位から後半戦の出場権が与えられるんです。これがリランキングです。

リランキング対象者でも、今季優勝した選手は当然のように除外されます。具体的な名前を挙げると、2戦目に勝った吉本ひかるプロ、4戦目に勝った山内日菜子プロ、そして8戦目に勝った神谷そらプロです。彼女たちは優勝した後の試合と来年1年間の出場権を保持しているので、リランキングにこだわる必要はありません。

気になるのは、前半戦はいつまでかということですが、今季は第16戦のニチレイレディスまでになります。したがって、翌週のアース・モンダミンカップからシード権を持たない選手はリランキング順に出場権を与えられるわけです。ただし、後半戦すべての試合に出場できるわけではありません。なぜなら、第29戦のミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン終了後にもう一度リランキングがあるからです。

◆少ない試合数で結果を残し上位へ食い込む。注目は82位→3位の比嘉真美子プロ

ちなみに、パナソニックオープンレディース終了時での暫定リランキング1位は安田祐香プロで190・22ポイントを獲得しています。2位には、同大会で4位タイに入った仁井優花プロが184・75ポイントの僅差でつけています。仁井選手はQTランキング16位からのジャンプアップです。ゴルフは何が起こるか分からないだけに、序盤戦でポイントを稼いでおいた方が安心できるのは間違いありません。

ただ、リランキングの面白いところは、いかにQTランキングの下位から少ない試合数で結果を残して上位に入るか、その1点です。今年で例を挙げるなら、現在暫定リランキング3位につけている比嘉真美子プロでしょう。

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比嘉プロは、プロ12年目の29歳でツアー通算5勝を挙げ、18年には賞金ランキング4位に入った実力者です。そんな彼女ですが、昨年はメルセデスランキングで142位に終わり、シード権を確保できませんでした。挽回を図ったファイナルQTでも82位に終わり、今季は推薦出場枠でしか出場する望みがありませんでした。ところが、アクサレディスゴルフトーナメントで単独2位に入り、120・00ポイントを獲得!! 一気に暫定リランキングの順位を上げてきました。これで後半戦の途中まで出場できるので、シード復活も十分可能性があると言えます。

パナソニックオープンレディースでは、仁井プロのほか、新海美優プロ、木戸愛プロ、新垣比菜プロ、大出瑞月プロがトップテンに入りました。もちろん、みな優勝を目指していたと思いますが、リランキングの順位を上げるためにも、チャンスを生かそうとして必死にプレーしていたのは確かです。第1回リランキング対象試合はあと7試合となっていますが、ますます激しい戦いになることは必定!! リランキングにも注目して観戦するとよりおもしろくなります。

◆山西英希/プロフィール

スポーツライター。ゴルフを中心に幅広く取材、執筆。

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