国内女子ツアー第11戦、RKB×三井松島レディスでは、岩井明愛プロ、千怜プロ、山下美夢有プロの3人によるプレーオフとなりましたが、2ホール目にバーディを奪った千怜プロが今季初優勝、ツアー通算3勝目を飾りました。その千怜プロですが、今季はドライビングディスタンスが【8・48ヤード】も伸びているんです。それが勝因の一つにもなりましたが、そもそもドライビングディスタンスってどのように計測するのでしょうか。
今回もゴルフにまつわる「数字」をヒントにその魅力を解説していきます! これさえ読めば、もっとゴルフがしたくなる! 観戦が楽しくなるはずです♪
◆練習ラウンドでもほぼナシ! 意表を突いた直ドラ作戦が成功!
岩井明愛プロと千怜プロの双子対決で特に注目を浴びたのが、“直ドラ”対決でしょう。プレーオフとなった18番パー5は496ヤードですが、打ち上げホールなので実際はもっと距離が長く感じます。プレーオフ2ホール目、2打目を先に打った明愛プロが手にしたクラブはなんとドライバーでした。実は、本戦の18番でも2打目でドライバーを使っており、グリーン手前までボールを運んでバーディを奪っていました。プレーオフには千怜プロだけでなく、昨年の年間女王・山下美夢有プロという強敵がいただけに、同じ作戦で臨んだと思われます。
「練習ラウンドでも試していましたし、試合でも打ったことはあります」と、明愛プロにとっては珍しいことではなかったのでしょう。今回もしっかりグリーン手前までボールを運びました。
驚いたのはその後です。なんと千怜プロも2打目をドライバーで打とうとしているではありませんか。聞けば、試合ではもちろん、練習ラウンドでも直ドラを試したことはほぼないそうです。「明愛がドライバーを握っていたので、それもありかなと。ファンの皆さんを楽しませるためにもドライバーを選びました」と千怜プロ。果たして成功するのか、ギャラリーも心配そうに見守っていましたが、ボールは明愛プロよりもグリーンに近いところに着地。初挑戦ながら大成功の1打でした。
ピンまで12~13ヤード残りましたが、そこからのアプローチを2・5ヤードに寄せると、それを沈め、このホールでただ一人、バーディをゲット。明愛プロ、山下プロを下し、見事今季初勝利、ツアー通算3勝目を手にしました。
まさに直ドラ作戦大成功! といったところですが、ちょっと待ってください。いくらドライバーで2打目を打ったからといって、そう簡単にグリーン近くにまで運べるのでしょうか。当然、ティショットでもある程度の飛距離を稼いでいなければ難しいはずです。そこで、千怜プロのドライビングディスタンスを調べてみると、なんと255・09ヤードで5位にいるじゃありませんか。しかも、昨年が246・61ヤード(12位)だったので、8・48ヤードも伸びているんです。そりゃあ、直ドラでグリーン近くまで持っていこうと思いますよね。
◆ドライビングディスタンスは毎日2ホールで計測
ところで、そのドライビングディスタンスですが、どのように計測しているのでしょうか。ドライバーの飛距離を計るわけですが、パー3を除いた14ホールで計測するわけではありません。14ホールの中から2ホールをピックアップして計測します。ただし、条件が一つ。風による影響が出ないように、ティイングエリアからグリーンまでの方向が反対になっている2ホールを選びます。確かに、これなら不公平感はありませんよね。
ドライビングコンテストではないので、フェアウェイキープしたかどうかは関係ありません。ラフだろうとバンカーだろうと、あくまでもボールが止まった位置までの距離を計測します。たまたまそのホールでドライバーを使用しなかったとしても、お構いないしに計測されます。
運悪く計測ホールでミスをして飛距離が出ないこともあるでしょうが、毎年上位に来る顔ぶれを見ると、そのような誤差を含めても、やはり飛ばし屋が上位を占めるようです。
ということは、千怜プロも飛ばし屋の仲間入りをしたといってもいいでしょう。ちなみに、明愛プロは251・31ヤードで11位にいます。昨年が251・75ヤードで6位だったことを考えると、ちょっと飛距離が落ちたようです。ゴルフは飛ばしだけでは勝てませんが、飛ばないよりは飛んだ有利なのは確かです。今後も岩井姉妹の飛距離に注目していきましょう。
取材・文/山西英希