国内女子ツアー第12戦、「ブリヂストンレディスオープン」では、山下美夢有プロが2位に7打差をつける圧勝劇を演じ、今季2勝目、ツアー通算8勝目を飾りました。7打差は確かにすごいんですが、実は8打差以上で優勝したケースは過去に30件もあるんです。
今回もゴルフにまつわる「数字」をヒントにその魅力を解説していきます! これさえ読めば、もっとゴルフがしたくなる! 観戦が楽しくなるはずです♪
◆途中から独走状態! 山下美夢有プロ
最終日をスタートしたときは、2位以下との差が2打差だった山下美夢有プロですが、その差を相手に縮めさせませんでした。例えば、1番パー4で同組の岩井明愛プロがカラーからパターで転がしたボールをカップインさせてバーディを奪ったんです。山下プロは6メートルのバーディパットを残していましたが、しっかりとそれを決めて2打差をキープ。4番パー3では鈴木愛プロがホールインワン逃しのバーディを奪ったときでも、山下プロはバーディを奪い、付け入るスキを与えません。
すると、岩井プロが5番パー4でダブルボギー、鈴木プロが6番パー5でトリプルボギーを叩き、山下プロとの差が一気に広がります。こうなると追う人間よりも逃げる人間のほうが楽になり、8番、10番、11番ホールで山下プロがバーディを奪い、さらに差を広げていきます。
結局、岩井プロも鈴木プロも山下プロとの差を何とかして縮めようとしたものの、バーディを奪うには無理な攻めをしなければならず……。バーディを奪うも、ボギーを叩くというゴルフで、山下プロとの差を縮めることはできませんでした。
トーナメントではコース内にスコアボードが各所に設置されているため、同組以外の選手も上位陣のスコアがどのように変化しているのかは把握しています。山下プロが独走したことで、他の選手も無理をして順位を下げるよりも、2位狙いに切り替えた可能性もあるでしょう。山下プロを猛然と追いかけてくる選手はほぼ皆無でした。
◆大差優勝の最高記録は、2位と【15打差!】
終わってみれば、山下プロが通算18アンダー、単独2位の岩井明愛プロが11アンダーで7打差がつきました。「ショットが安定していましたね。3、4日目がノーボギーのラウンドで、パッティングもタッチがよくて、ラインも合ってくれたので、それがバーディにつながったんだと思います」と、山下プロが言うように、決勝ラウンドの2日間は12バーディ、ノーボギーとスコアを伸ばしまくったことが、7打差につながったと思われます。
久しぶりに大差での決着となっただけに、記録的な大差かとも思われましたが、そんなことはありませんでした。なんと、8打差以上の大差で優勝したケースが30件もあるんですよね。内訳は、8打差が10件、9打差が11件、10打差が5件、11打差が3件、そして15打差が1件です。当然、15打差で勝った人が気になりますよね。イギリス出身のローラ・デービースプロです。96年の伊藤園レディスで3日間ながらも通算17アンダーをマーク。2位タイには福嶋晃子プロと原田香里プロが入っていました。さすが海外メジャー4勝の実力者ですね。ちなみに、デービースプロは日本でも7勝を挙げていますが、そのうち4勝が伊藤園レディスでした。よほどコースと相性がいいのでしょう。
また、11打差で優勝したのは、樋口久子プロ(73年東海クラシック)、服部道子プロ(98年伊藤園レディス)、不動裕理プロ(04年日本女子オープン)でした。樋口プロは8打差以上の優勝を過去に4回達成しています。
面白いのは、10打差優勝にベス・ダニエルプロ(91年コニカカップワールドレディス)、9打差優勝にカリー・ウェブプロ(00年ニチレイカップワールドレディス)、アニカ・ソレンスタムプロ(03年ニチレイカップワールドレディス、04年ミズノクラシック)と、日本へのスポット参戦ながら、すごいゴルフをしていることです。世界のトッププロはどんな試合にでも手を抜かずに戦っていることの証明でしょう。
取材・文/山西英希