6月2日〜4日にかけて行われた国内女子ツアー第14戦リシャール・ミル ヨネックスレディス。日本列島を襲った荒天のため競技は27ホールに短縮。しかもツアー史上3度目となるセカンドカットを実施しました。これにより、予選を通過しながら決勝ラウンドに進めなかった選手が37人も出たほか、決勝ラウンドは33人による9ホールでの短期決戦となりました。
今回もゴルフにまつわる「数字」をヒントにその魅力を解説していきます! これさえ読めば、もっとゴルフがしたくなる! 観戦が楽しくなるはずです♪
◆荒天のため初日中止……2日も濃霧のため中断
JLPGAのホームページでリシャール・ミル ヨネックスレディスの最終成績を確認すると、あら不思議。33位の仁井優花プロの成績は2オーバーですが、34位タイにいる選手の成績は1アンダー。「一体どうして?」と一瞬思った人もいるでしょう。よく見ると、仁井選手までは第2ラウンドまでの成績を含めたものであり、34位以下の人は第1ラウンドのみの成績でした。「なんだ、そうだったのか」と納得してはいけません。なぜ33人しか決勝ラウンドに進めなかったのでしょうか。
その答えを言う前に、今大会の流れを一度説明しておきましょう。大会初日が荒天のため中止に。この段階で54ホール行う予定から36ホールに短縮されることが決まりました。大会第2日に18ホールの予選ラウンドを行い、60位タイまでの選手が最終日に18ホールの決勝ラウンドを行うというスケジュールです。88年のツアー制度施行後、競技自体が中止、短縮になるのは83試合目で、初日が中止となったのは23試合目でした。ところが、さらに競技を短縮することになったのです。
大会2日目、前日からの雨の影響で第1組のスタートが4時間半遅れの正午に変更。なんとかホール数を消化しようと各組とも懸命にホール数を重ねていきましたが、夕方になって霧が立ち込めてきたことで競技中断に。3人しか第1ラウンドをホールアウトできませんでした。
3日間競技を成立させるには半数となる27ホールを終了しなければなりません。第1ラウンドを消化できなかった組がホールアウトした後、予選通過した選手が確実に9ホールを終えることができるかどうか。仮に60位タイの選手が複数人いた場合、それだけ組数が増えることになります。しかも、同じ9ホールを回らなければならないため、アウトスタートとインスタートに分けることもできません。そこで、JLPGAが取った手段が、“セカンドカット”だったのです。
◆苦肉の策としてセカンドカット採用。これはツアー史上3度目
LPGAのトーナメント規約には以下のように記されています。『競技委員会は、規定ホール数終了及び競技成立のために、決勝ラウンドの人数を減らすこと(以下「セカンドカット」という)ができる。なお、セカンドカットされた選手には、その順位により賞金が支払われるものとし、セカンドカット後の最少人数は30位タイまでとする』(第9章 悪天候等による短縮、中止等 第40条3)。つまり、決勝ラウンドをプレーする人数を減らせば、確実に27ホールを終了できると判断し、そのためにセカンドカットが行われたというわけです。ちなみに、予選通過者には、賞金だけでなく、メルセデスランキングのポイントも得ることができます。
これで今大会の決勝ラウンドに進んだ選手が33人だった理由はもうお分かりでしょう。26位タイがセカンドカットのラインとなり、通過した人数が33人だったのです。JLPGAは19年からこの制度を導入していますが、採用したのは20年ニトリレディス、21年資生堂レディスオープンに続く3回目となります。
ちなみに、27ホールの短期決戦で優勝したのは、佐久間朱莉プロとのプレーオフを1ホール目で制した川岸史果プロでした。実に6年ぶりのツアー2勝目であり、キャディを務めた母親の麻子さんとの涙の抱擁は感動的でしたね。
取材・文/山西英希