国内女子ツアー第31戦「スタンレーレディスホンダゴルフトーナメント」では、森田遥プロが6年63日ぶりにツアー2勝目を飾りました。会場となった東名カントリークラブは富士山からの芝目もあり、ラインを読みにくいグリーンだったにもかかわらず、森田プロは3日間1度も3パットをすることがありませんでした。実は、森田プロ、【3パット率】では毎年上位に入っていますが、3パット率ってどのように決めるのでしょうか。
◆過去6シーズンで【3パット率】2位が3回! 3パットをしないコツも教えてもらいました
スタンレーレディスホンダゴルフトーナメントで今季初勝利を飾った森田遥プロ。3日間で一度も3パットはなく、大事なところでパーパットをしっかりと決めていました。現在(2023年10月10日)【3パット率】第3位の本領を発揮しましたが、そのしぶといパッティングが勝因となったのは確かでしょう。
【3パット率】とは、文字通り、3パットかそれ以上のパット数の率を言います。3パット以上のホール数を総ホール数で割り、100を掛けて計算しますが、数字が小さければ小さいほど3パットをする確率が低く、3パット率第1位の選手は、最も3パットをしない選手といえるわけです。
現在、森田プロの数字は1.9097で、これは100ホール回っても、98ホールは2パット以下で収めていることになります。ちなみに、現在の1位は吉本ひかるプロの1.7470で、第2位は金澤志奈プロの1.8970です。3パットしないということ自体、パッティングは上手な証拠であり、森田プロの今季の平均パット数(1ラウンド当たり)は28.5938で5位につけています。
実は森田プロ、3パット率では上位に名を連ねる常連で、これまでの記録を見ると、16年が7位(2.4525)、17年が2位(2.4055)、18年が13位(2.8587)、19年が2位(2.4894)、20―21年が2位(2.3777)、22年が6位(2.2447)となっており、なんと6シーズン中、3回も2位を記録しています。残り3回中2回はトップテン入りと、ある意味3パットを打たないスペシャリストとも言えるでしょう。
その森田プロは、3パットをしないコツを次のように語っています。「2パット目の距離がだいたい1~1.5メートルの距離が残るとするならば、その距離を確実に沈めることです。私は普段からその距離を練習しています。とりあえず、長い距離でも寄せておけば、あとは頑張って入れる感じですね」。
また、基本的にはパターを替えることはなく、中学生のときから“オデッセイPROTYPE ix#1”を使っています。ただし、たまに違うパターを使い、新鮮味を出しているそうですが、「結局はエースパターに戻ってくる」とのこと。やはり自分が気に入ったものを大切に長く使うことがパッティング上達の秘訣なのかもしれません。
◆あえてコース所属のプロにキャディを依頼したことが勝利につながった
その森田プロですが、今回はあえて開催コースである東名カントリークラブ所属の里祐太郎プロにキャディをお願いしたそうです。「東名CCは近くに富士山もあって、芝目を読みにくいホールもありますが、自分でも性質を把握できるようになってきました。里プロにキャディをしてもらったことで、さらに色々なアドバイスをもらえて勉強になりました。そのお陰で自信を持ってストロークできました」。まさに念には念を入れて準備したことが優勝につながったと言えるでしょう。
今回の優勝は17年の北海道meijiカップ以来、実に6年と63日ぶりの優勝となりましたが、「小学校1年生から6年生になるぐらいまでの長さを感じました」と、感慨深げの森田プロ。ブランク優勝記録としては、史上20番目でしたが、本人にしてみれば、6年間は相当長かったと思われます。アマチュア時代は日本女子アマに優勝し、ナショナルチームでも2年間活躍していた経歴を持つだけに、今回の優勝を機にさらなるブレイクを期待したいところです。
取材・文/山西英希