国内女子ツアー第16戦、ニチレイレディスでは、岩井明愛プロが最終日に64のビッグスコアをマークし、通算13アンダーで今季2勝目、ツアー通算5勝目を飾りました。前日5位タイからの逆転劇となりましたが、過去最大の逆転劇はなんと20位タイからの大まくりでした。
◆5位からの逆転優勝は今回が37回目。20位からの大逆転は過去に3回も!
今年のニチレイレディス、竹田麗央プロが通算8アンダーの単独首位で最終日を迎えました。今季3勝を挙げ、メルセデスランキング1位の竹田プロだけに、そのまま逃げ切るだろうというのが大方の予想でした。ところ、その予想はあっさりと裏切られます。3打差の5位タイからスタートした岩井明愛プロが、なんと64をマークして逆転優勝を飾ったのです。竹田プロも崩れたわけではなく、69という好スコアをマークしていたのですが、それ以上のスコアを出されては仕方がないでしょう。
この日は岩井プロだけでなく、2位タイに入った佐久間朱莉プロと小祝さくらプロも65のビッグスコアを叩き出しており、大激戦でした。プレーする側は大変だと思いますが、観る側としては、今回のように大混戦での逆転劇があると面白く感じます。
3日間大会に限りますが、岩井プロと同じ5位からの逆転は今回が37度目で、それほど珍しくはありません。では、3日間大会で過去最大の逆転劇は何位からの巻き返しだったのでしょうか。正解は20位タイからの逆転劇でした。しかも、3例もありました。
1例目が97年イエローハット東京レディースでの前田真希プロ。2日目を通算2オーバーで終えると、最終日は4バーディ、ノーボギーの68をマーク。ただ1人の60台だったこともあり、19人をごぼう抜きでの優勝となりました。
2例目が06年中京テレビ・ブリヂストンレディスでの李知姫プロ。通算1オーバーで2日目を終えましたが、最終日に66をマークして6打差を逆転しました。
そして3例目が19年デサントレディース東海クラシックの渋野日向子プロです。2日目を終えて通算5アンダーとまずまずのゴルフを見せていましたが、最終日に64をマーク。首位との8打差をひっくり返しての優勝でした。
◆最大差逆転記録は11打差
渋野プロの8打差逆転は、98年東洋水産レディス北海道での大場美智恵プロと並ぶ、歴代2位の記録となります。打数に関しての最大差逆転記録は、02年廣済堂レディスで藤野オリエプロが演じた11打差逆転劇でした。
藤野プロや渋野プロから見たら、岩井プロの3打差逆転はそれほど珍しくはありませんが、首位がスコアを伸ばした上での3打差逆転は価値があるでしょう。圧巻だったのは、上がり3ホールでの3連続バーディです。
まず、16番パー4ではグリーン右手前のバンカーから放った第3打が吸い込まれるようにカップインしたかと思えば、17番パー3ではピン左1メートルにつけてバーディ、そして最終18番パー5では、第2打をグリーン左奥のバンカーに入れながらも、しっかり寄せてバーディを奪いました。「16番のバーディで勢いはつきましたが、テンションを上げ過ぎてしまうと、次にミスしたら嫌だなと思うので、なるべく抑えながら、という感じでした」。冷静さをキープできたことが、3連続バーディにつながったのでしょう。今回のようにスリリングな試合展開が多いことが、国内女子ツアー人気が高まる理由かもしれません。