今週は国内女子ツアー第24戦、ニトリレディスゴルフトーナメントでは、桑木志帆プロが通算12アンダーで今季2勝目を飾りました。これでメルセデスランキングでも5位に浮上。年間女王のタイトル獲得へ向け、視界が広がってきました。桑木志帆プロのスタッツを見ると、強さの秘密が明らかに。果たしてそのスタッツとは?
◆ショットに関してはトップクラスを示す数字
涙の優勝から2カ月、資生堂レディスでツアー初優勝を飾った桑木志帆プロがニトリレディスでツアー2勝目を飾りました。一時は首位に4人が並ぶ大混戦でしたが、17番パー4でバーディを奪って抜け出し、通算12アンダーで逃げ切りました。
桑木プロのスタッツを見ると、昨年と比べて明らかに異なる数字があります。ドライビングディスタンスとフェアウェイキープ率です。前者は昨年が239.46ヤード(44位)でしたが、今季は249.41ヤード(18位)にアップ。後者も70.6246パーセント(20位)から71・4286パーセント(16位)に上がっています。ドライバーの飛距離が平均で10ヤードも伸びたのは驚異的です。しかも、フェアウェイキープ率も上がっているので、ボールが曲がっているわけではありません。ドライバーショットが飛んで曲がらなくなれば、当然グリーンを狙うショットも楽に打てるようになり、パーオン率が70.2261パーセント(24位)から71.6667パーセント(8位)に上がっています。
ドラインビングディスタンスとフェアウェイキープ率の順位を足した数字をポイントにして、順位づけたのがトータルドライビングですが、桑木プロは現在34ポイントで1位につけています。さらに、トータルドライビングとパーオン率の順位を足した数字をポイントにしたのがボールストライキングで、こちらも9ポイントで1位につけています。
ボールストライキングはいってみれば、ドライバーショットとアイアンショットがどちらも成功率が高いことを表す数字であり、桑木プロはショットに関して今季トップクラスにいることの証明だといえるでしょう。シーズン2勝も納得ですね。
◆竹田麗央とデッドヒートのイーグル数
ただ、いくら正確なショットを放つことができても、試合でしかも勝負を決める土壇場で狙いどおりにボールを打つことは並大抵ではありません。聞けば、桑木プロはメンタルコーチに師事しているそうです。「自分のプレーに集中するために、一緒に回る選手が素晴らしいプレーをしたときは褒めたたえるように心がけています」。単純に相手のプレーがすごいと思ってしまえば、自分のプレーに集中できませんが、相手を素直に褒めることによって自分のプレーに気持ちが切り替わるというわけです。
今回。桑木プロの集中力が研ぎ澄まされたのが、最終日の17番パー4でした。ピンまで残り130ヤード地点から9番アイアンでピンを狙うと、2メートルにつけました。「フルショットではなく、ライン出しのイメージで打ちましたが、カップに入れるつもりでした」。緊張することなく、クラブを振り切れたのはメンタルトレーニングの成果でしょう。
実は今季、桑木プロが1位になっているスタッツがもう1つあります。それはイーグル数です。先週まで8個獲得していますが、2位には7個獲得している竹田麗央プロが控えています。ショットの好調さにメンタルの強さが加わっているわけですから、このままシーズン終了までイーグル数1位の座を明け渡すこともないでしょう。
写真/Getty Images