国内女子ツアー第28戦、ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンでは安田祐香プロが、ツアー初勝利を飾りました。アマチュア時代に20試合、プロで133試合、計153試合目での達成でしたが、スピード記録では276位でした。果たしてこの順位は遅いのでしょうか、それとも……。
◆5年間は長くない
アマチュア時代は日本女子アマを制したり、多くのトーナメントでベストアマを獲得した安田祐香プロ。同学年には古江彩佳プロ、吉田優利プロ、西村優菜プロ、後藤未有プロ、阿部未悠プロがいますが、その先頭を走っていたのが安田プロでした。当然のように、一発でプロテストに合格。すぐにツアーで初優勝を飾るものかと思われましたが、今回のミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンを制するまで5年の月日が流れました。出場試合ではアマも含めて153試合目での達成であり、313人いる優勝者の中では276位と、決して驚くような数字ではありません。
ただ、安田プロ自身はこの5年間が長かったとは感じなかったそうです。「自分としては1年ごとに成長を感じていますし、初優勝まで5年もかかったとは思っていません」。アマでの成績を一度リセットし、プロとして経験を一段ずつ積み上げた結果、ようやく優勝するレベルに達したという考え方なのでしょう。その間、スイングを研究し、微調整を繰り返しながら目指す球筋に近づけた安田プロ。疲れない体を目指し、トレーニングで体力アップに励み続けた結果、今年に入ってからは最終日でもアンダーパーをしっかり出せるようにもなりました。
昨年のフジサンケイレディスではあと一歩及ばず、2位タイに終わり、悔し涙を流しましたが、それも経験の一つになったことは間違いありません。その意味では、たとえ276番目のスピード記録だとしても、安田プロにとってプロ5年目での初優勝は決して遅くはないと言えます。
◆1勝目はあくまでも通過点
ちなみに、ツアー初優勝の達成記録を見ると、1位はアン・ソンジュプロや申ジエプロなど、15人の名前が並んでいます。ただし、日本女子プロゴルフ女子部創立記念競技で優勝した小川美智恵プロ以外は全員外国人選手でした。さらに、15人のうち11人は招待選手です。ある程度実力のある選手が、国内ツアーに参戦していきなり勝ったわけですが、実力を考えれば当然だったのかもしれません。むしろ面白いのは、200位以下に意外な名前が多く見受けられたことです。
まずは203位(73試合)の小祝さくらプロ。さらには214位(81試合)の不動裕理プロ、217位(84試合)の森田理香子プロ、218位(85試合)の吉川なよ子プロ、251位(117試合)の小林浩美プロ、278位(158試合)の塩谷育代プロと、賞金女王や永久シード保持者、国内メジャーチャンピオンなど、名だたる選手ばかりです。
大切なのは、1勝に満足することなく、いかに2勝目、3勝目を上乗せしていくか。「これからもいい位置で安定したゴルフを続けていきたいです」と語っていた安田プロ。本領を発揮するのは本人がいうように“これから”でしょう。
写真/Getty Images