今季ツアー初優勝で、シーズン最多2位回数に並ばなかった山下美夢有プロ【国内女子ツアー豆知識】

国内女子ツアー第31戦、富士通レディースは、通算14アンダーで山下美夢有プロと古江彩佳プロのプレーオフに。2ホール目、ボギーを叩いた古江プロに対し、山下プロはパーセーブ。ようやく今季ツアー初勝利を挙げました。仮にプレーオフに負けていたら、シーズン最多2位回数に並んでいただけに、自力で回避したといえるでしょう。

◆全米女子プロを含めると2位が8回の山下プロ

今季、山下美夢有プロが2位となった試合は以下の通り。アクサレディス、RKB×三井松島レディス、ブリヂストンレディス、宮里藍サントリーレディス、大東建託・いい部屋ネットレディス、ソニー日本女子プロゴルフ選手権、住友生命Vitalityレディス東海クラシックの7試合です。あくまでも参考記録ですが、全米女子プロ選手権でも2位となっているので、それを含めると2位の回数は8回となります。

ちなみに、国内女子ツアーに限り、過去1シーズンで最も2位が多かったのは、89年に涂阿玉プロが記録した8回でした。この年の涂プロがすごいのは、優勝も5回しており、3位も5回あったことです。オリンピック風にいえば、表彰台に18回も上がっていたことになりますね。36試合に出場していたので、実に5割の確率です。賞金女王に輝いたのも納得です。

また、山下プロは今季19試合に出場し、優勝と3位は1回ずつなので、3位以内は9回となります。約47パーセントはかなり高い数字といえるでしょう。さらに、2位だけの確率を見た場合、36.8420パーセントになります。これは2位を年間5回以上行った選手の中では歴代2位の記録となります。1位は、10年に14試合に出場し、2位が6回あった朴仁妃プロでした。実に42.8570パーセントで断トツです。ただ、2位率の3位は04年に不動裕理プロが記録した26.0870パーセントなので、山下プロの数字もかなり高めだといえるでしょう。

◆2位が続いても失わなかった勝利への執念

出場試合数に限っていうと、連続2位の最多記録は15年にイ・ボミプロが達成した4試合連続になります。ちなみに、この年のボミプロが2位となった回数は7回で、優勝も7回ありました。3位は3回で、出場試合数は32試合でした。先ほどの表彰台に乗った確率でいえば、53.1250パーセントとなります。賞金女王となったのも当然といえるでしょう。

実は、山下プロも今季は3試合連続で2位になっています。4試合目となった日本女子オープンでは2位と1打差の3位だっただけに、かなり惜しかったといえますね。

富士通レディースで優勝を飾った後、「2位で終わるのと、優勝するのとでは全然違います。優勝すると自信につながりますし、次のステップに向けて頑張ろうという気持にもなります」と、優勝と2位の違いを語っていた山下プロ。ただ、たとえ2位で終わっても山下プロは挫けることはありませんでした。2位は2位として自分の中で頑張った証として受けて止めていたのです。「2位ではダメだ」と考えず、いつかチャンスをものにできると自分を信じていたからこそ、富士通レディースで勝利を手にできたのではないでしょうか。

最終日、山下プロはホールアウト後に練習グリーンでパッティングの練習をずっと続けていました。その間に古江プロが1打リードしましたが、一心不乱にボールを転がし続けていたのです。最終ホールで古江プロがボギーを叩き、プレーオフとなりましたが、仮に“今回も2位か”と考えていたなら、そこまで熱心にパットの練習をしていなかったはずです。その集中力と勝利への執念があったからこそ、プレーオフを制したのではないでしょうか。

写真/Getty Images

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