3人もの平均ストローク60台の選手を輩出した24年の国内女子ツアー。数字が上がったのは上位だけではありません。ついに平均ストローク72を切っても同部門ランキングのトップ50から外れてしまったのです。
◆もはや平均ストローク72切りが当たり前!?
24年の平均ストローク第1位は山下美夢有プロで、69.1478と自らの史上最少記録を更新しました。実は、2位の竹田麗央プロも69.2378をマークし、歴代2位の記録となっています。さらに、3位の岩井明愛プロも69.9040で歴代4位に入りました。平均ストロークで60台の選手が複数人出たのは史上初であり、しかも3人というから驚きです。
数字が上がったのは、上位の選手だけではありません。全体的に上がっていることは間違いありません。それを証明するのが、平均ストローク72を切った選手の順位です。24年は仁井優花プロが71.9585を記録しましたが、これは同部門ランキングの52位となります。つまり、トップ50から2人も外れてしまったわけです。
前年の23年は川﨑春花プロが71.9650で50位でした。さらに、22年は阿部未悠プロが71.9910で43位、20‐21年はサイ・ペイインプロが71.9942で36位、19年は成田美寿々プロが71.9641で32位、18年は青木瀬令奈プロが71.99901で36位でした。過去10シーズンを振り返ると、平均ストローク72を切れば、20位以内に入ったシーズンもあったほどです。
平均ストロークの順位が必ずしもメルセデスランキングや賞金ランキングに反映されるわけではありませんが、今後はシード権を目指すのであれば、最低でも平均ストローク72のラインをクリアしなければいけないでしょう。
◆平均ストローク71を切ってもトップテンに入れず
当然かもしれませんが、平均ストローク71を切っても同部門ランキングの順位は下がっています。24年は菅楓華プロが70.9977で14位に入りました。23年は福田真未プロが70.9990で17位だっただけに、むしろ上がったのでは? と思うかもしれませんが、それ以前の数字を見てみましょう。22年は西郷真央プロが70.9481で10位、20-21年はペ・ソンウプロが70.9804で8位、19年は稲見萌寧プロが70.9805で7位、18年は比嘉真美子プロが70.5396で4位に入っています。過去10シーズンを見ても、22年より以前は71を切ると確実にトップテンに入っていたのに、ここ2年はトップテンから外れています。
おそらく25年以降もこの傾向は続くでしょう。ただ、25年は平均ストロークランキングの上位にいた山下プロ、竹田プロ、岩井明愛プロ、岩井千怜プロが米女子ツアーに参戦します。それが全体的な数字にどのような影響を与えるのかは気になるところです。
近年はクラブやボールの進化もあり、ツアー全体のレベルが上がっていると言われますが、それ以上に選手の技術が上がっていることが平均ストロークの上昇につながっているといえるでしょう。実際、数年前はシーズン中にトレーニングをする選手は数えるほどでしたが、現在は当たり前のようにどの選手もトレーニングを行っていますし、体のケアにもかなり気を遣っています。
若い世代はメンタル面でも強さを感じさせるだけに、心技体がさらに充実していけば、たとえ上位選手が不在でも平均ストロークの数字はさらに上昇していくのではないでしょうか。
写真/Getty Images