“パッティングに型なし”といわれますが、それはオーソドックスな型を会得してからの話であり、まずは基本をしっかりと身につけるべきです。実は、大山志保もアドレスの形を基本に戻してからパットの調子がよくなったといいます。そこで、アベレージゴルファーがパットで悩むポイントを大山さんにぶつけてみました!
厳密にいえば、どんな人でもパットのストロークはインサイドインの軌道になりますが、できるだけその弧を大きくしたほうが、ボールを狙ったところに打ち出せます。そのための準備をアドレスの段階でしておきましょう!
◆アドレスで軌道を修正
パットの3大要素は体重配分、ボールとの距離、両手の高さだといいましたが、実はこの3つは私にとっても修正したいポイントでした。昨年までの私は、極端な左足体重で構え、ボールから離れて立ち、両手が高い位置にありました。その結果、インサイドインの弧が小さくなったり、ヘッドをアウトサイドに出したり、肩の動きでストロークできず、パットに苦しんだんです。
なんとか練習量でヘッドの軌道をストレートに近づけましたが、軌道も転がりも不安定な状態だったことは間違いありません。そこで、安定したストレートの軌道を身につけるために、3つの要素を修正しようと昨年10月から取り組んできました。その方法を紹介します。
◆[大山先生の答え①]極端にボールの近くに立って打つと、軌道の変化が分かる
私の場合、ボールからかなり離れて立っていたので、あえてボールのすぐ近くに立って構えました。このとき、ヘッドのヒールが浮いた状態になります。そこから少しずつボールとの距離を取り、自分が振りやすいポイントを見つけます。できれば、トウも浮かず、ヒールも浮かないポイントがいいですね。そこがストレート軌道に打ちやすい場所でもあります。ここからボールとの距離が離れると、インサイドインの弧が大きくなります。ヘッドの据わり具合と軌道をチェックしてボールとの適正距離を見つけましょう。重心位置が土踏まずの上にあると、ヘッドを真っすぐな軌道で動かしやすくなります。ボールとの位置が適正ならば、短い距離ではほぼストレートの軌道です。
パターヘッドのトウが浮かず、ヒールも浮かないように構えられるところが適正なボールとの距離になります。その場合、土踏まずの上に重心がくるようにしましょう
◆[大山先生の答え②]体重配分は鏡を見てチェック!
おそらく最もひどいときは7割、あるいはそれ以上の体重が左足に乗っていたと思います。それを修正するために行ったのが、鏡を見ることです。自分の感覚で左右均等にしたつもりでも、いざ鏡を見ると左足体重になっています。逆に、鏡を見て左右均等にすると、えっ、こんなに右足に体重を乗せていいの、と思うぐらい。感覚よりも視覚を重視するべきでしょう。アベレージゴルファーの皆さんも、自宅でできると思います。鏡がなければ窓に自分の姿を映してもいいでしょう。元に戻りやすいので、できれば毎日行うのが理想ですが、短いスパンで定期的にチェックしましょう。もちろん、スタート前もクラブハウスのガラスなどを利用してチェックを忘れないように。
鏡を見れば、自分の体重配分は一目瞭然。感覚よりも視覚を重視しましょう
◆[大山先生の答え③]両肩と両腕でできる五角形を崩さずにストローク!
ストレート軌道でストロークするには、両手の位置が大切です。手元が高いと、ヒジが突っ張った形になり、スムーズにストロークできないからです。まずは、両腕を肩からダランと垂らし、そのときに両手がくる位置でパターを握ります。軽くヒジを曲げて両肩と両腕で五角形をつくったら、その形を崩さずにストロークしましょう。
ヒジが突っ張ってしまうと、三角形に近い形になるので要注意です。これも鏡などでチェックするといいでしょう。
アドレスで、両腕をダランと垂らした状態から、軽くヒジを曲げてパターを握りましょう。両肩、両ヒジ、手元でできた五角形を崩さないのがストロークの基本です
◆教えてくれたのは…
大山志保 おおやま・しほ/1977年5月25日生まれ、宮崎県出身。ツアー18勝。今季でプロ21年目を迎えるベテランだが、43歳となった今年もニトリレディスで6位タイに入るなど元気な姿を見せる。今年の2月には結婚を発表した。大和ハウス工業所属
ALBAドライバー・アイアン・アプローチぜんぶ女子プロに教わろう! 2021年版掲載 編集/島村涼 撮影/相田克己 岩本芳弘 上山敬太 佐々木啓 鈴木祥 近澤幸司 福田文平 村上航 米山聡明 Getty Images