藤田さいきが教えます!「どこにも力を入れずに構えることで、クラブをスムーズに振れます」

3季ぶり12回目のシード権を獲得した藤田さいきプロ。平均飛距離は245・14ヤードと衰え知らず。スイング中に生まれるクラブの力を無駄なくボールに伝えることが、飛距離アップの秘訣といいます。今回は『効率よく力を伝えるための構え』のポイントを教えてもらいました。

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アドレスでどっしり感を出す必要はない。普段立っているように脱力する

ドライバーはシャフトのしなり戻りをいかして、ボールに最大のパワーを伝えることで遠くに飛ばせます。自分の体で打ちにいくのではなく、打つのはヘッド。これが私のモットーです。簡単にいえば、体の横ブレを少なくしながら回転し、プロペラの中心のように自分自身が軸となってクラブを振ります。その動きをするためのアドレスのポイントがあります。アドレスを見直すだけで、劇的に変わる人も少なくないと思います。

まず注意したいのが、力みです。構えたときに腕や上体、下半身に過剰な力が入っていると体の回転を妨げてしまいます。私の感覚では、アドレスしたときは、どこにも力は入っていません。極端に背中を張ったり、膝を曲げてお尻を突き出して構える方もいますが、これだと余計な力が入りやすくなります。踏ん張り過ぎないことで力は抜けます。アドレスでは“どっしり感”を出す必要はないのです。

日常生活で立っていたり、歩いている時って、どこにも余計な力は入れていないと思います。それと同じ感覚で構えたいですね。

例えば、ドライバーがライ角に沿って立っていたとして、そのクラブに対して歩きながら入って、浮いているグリップを握って構えるイメージです。クラブを押さえつけたり、下半身を踏ん張ることはないと思います。それぐらい脱力することで、体の回転がスムーズになります。

アドレスでは力まず、脱力して構えましょう。背中を張ったり、膝を曲げてお尻を突き出して構えるのはNG。

このように、浮いているグリップを握るイメージで自然に構えると、下半身に余計な力みが生まれず、体の回転がスムーズに。

靴4足分のスタンス幅で体を回転しやすくする

体の回転をスムーズに行うために、スタンス幅は影響を与えます。私は、両足を揃えた状態から靴4足分ぐらい右足を広げた幅です。肩幅より少し広い程度。日常生活で立っている感覚に近いと思います。どっしり構えようとしてスタンス幅を広くすると、腰がしっかり回らなくなります。よほどの柔軟性と筋力がないとスムーズな回転は難しいもの。体の回転が不足していると感じたら、スタンス幅を狭くすると効果的です。

続いてはボール位置。肩幅より少し広いぐらいのスタンス幅に対して、ドライバーは、正面から見て左足カカト線上より1個内側あたりにボールを置きます。ヘッドは振り子のように、正面から見ると円運動をしています。体の真ん中より左側にボールを置くことで、ヘッドは円運動の最下点から上がり際、いわゆるアッパーブローの軌道でとらえやすくなります。ボールの打ち出しを高くできますし、理想的な弾道で飛んでくれます。

この時に注意したいのが手元の位置です。ボールを真ん中より左に置くことで、手元もボールに合わせて左側に出して構える方も多くいます。これでは体の正面に手元がないので、体の回転と腕の振りのバランスが悪くなります。また、手元を左に出すことで、右肩が前に出てかぶった構えにもなってしまいます。手元の位置の目安はほぼ体の真ん中です。剣道の面のように振りかぶって下ろした位置が、体と手元の関係ではベスト。力も入りやすく、バランスよく構えられます。

スタンス幅が広すぎると、腰がスムーズに回らなくなる原因に。

スタンス幅は靴4足分が正解! ボール位置は、ドライバーの場合、正面から見て左足カカト線上より1個内側あたり。 手元の位置の目安はほぼ体の真ん中に!

プロの真似をしてみよう!“ワッグル”をすれば手元の位置の正解がわかる

実戦で手元を最適な位置で構えるために役立つのが、ワッグルです。テレビ中継などを見ているとプロゴルファーは構える前に、クラブを浮かせて動かしているシーンを見たことがあると思います。これをワッグルといいます。ヒジから先の動きでヘッドを上下、左右と動かします。私もやっていますが、これをやることでヘッドの重みを感じているかのチェックになります。ヘッドの重みが感じられなければ、腕に力が入っている証拠です。腕を脱力してヘッドの重みを感じることは大切です。

ワッグルをするときは、自然と体の正面で手元は動いています。試してみると分かりますが、手元を体の左右にずらしてワッグルをすると、違和感が生まれ、腕に力が入ってしまいます。ワッグルをやってヘッドの重みを感じたら、手元の位置を変えずにヘッドを地面に下ろします。この位置がヘッドも手元の位置も最適なのです。決して手元はボールに合わせず、ワッグルした位置を保ったまま構えてください。

クラブを浮かせて、ヒジから先の動きでヘッドを上下、左右と動かします。

ワッグルをしてヘッドの重みを感じたら、そのままヘッドを地面に下ろすことで、ヘッドも手元の位置も正しくアドレスに入れます。写真右のように、手元をボールに合わせるのはNG。

教えてくれたのは…藤田さいきプロ

ふじた・さいき/1985年11月22日生まれ、栃木県出身。ツアー通算5勝。2004年プロ転向。05年にツアーデビューし、06年から12年連続でシード保持。20―21シーズンは賞金ランキング28位で3季ぶりにシード復帰。ツアーでの平均飛距離は、36歳にして245・14ヤードで15位と飛距離は健在。2022年は11年ぶりの優勝を目指す。チェリーゴルフ所属。

撮影/村上悦子 取材・文/小高拓 取材協力/鶴カントリークラブ(栃木県)

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