好評だったこの連載も今回が最終回です。ツアーでもトップクラスの飛距離を誇る渡邉彩香プロですが、最近はショートゲームの精度も上がっています。そこで、アベレージゴルファーでも対応できる状況別の寄せテクを紹介してもらいましょう。
最終回は距離のあるバンカーショットについて説明します。
素朴な疑問1:遠いバンカーからグリーンに乗せる打ち方が分かりません
私はこうしてます!1:クラブを短く握ってみましょう!
ピンの位置によっては、バンカーから40ヤードぐらいの距離が残ることってありますよね。その場合、サンドウェッジでのノーマルな打ち方だと大きくショートするかもしれません。というのも、大きく振ってもあえて飛ばない構えをしているからです。したがって、距離を出したいときは、アドレスを少し変えてみましょう。
まずはクラブフェースを開く度合を小さくします。通常はリーディングエッジを時計の2時か2時半ぐらいに合わせていましたが、40ヤードあるときは1時ぐらいに開けば十分です。それに合わせてスタンスをオープンにする度合も小さくします。スクエアスタンスでもいいぐらいですが、ボール1個分ほど左足を下げましょう。
ボールの位置は左足カカトの前からスタンスの中央に移します。距離を出したいほどボールを中に入れます。大切なのは、クラブを短く持つことです。グリップエンドから指3本分ほど余らせましょう。
クラブを短く持つと距離が出ないのでは? と思うかもしれませんが、それは通常のショットの場合です。バンカーショットは直接ボールを打つのではなく、ボールの下にある砂ごと運ばなければいけません。つまり、クラブヘッドを砂の中に打ち込むショットなのです。したがって、クラブを長めに持つと、それだけヘッドが砂の中に潜るため、砂の抵抗が大きくなります。当然、飛距離も落ちるわけです。
逆にクラブを短く持つとヘッドが砂の中に深く入らない分、砂の抵抗が小さくなり、距離を稼げるようになります。
ピンまでの距離が遠いバンカーショットではクラブを短めに握りましょう
素朴な疑問2:スイング自体はノーマルのバンカーショットと同じでいい?
私はこうしてます!2:オープンスタンスに沿ってクラブを上げて下ろします!
アドレスを変えたら、スイングに移ります。基本的には打ち方自体はノーマルのバンカーショットと同じです。バックスイングではアウトサイドにクラブを上げ、ダウンスイングスイングではオープンスタンスの向きに沿ってインサイドに振り抜きます。ボールの下にヘッドを潜り込ませる意識を持ちましょう。
フェースをそれほど開いていないし、ボールを中に入れているので、自然と距離が出ます。ただし、しっかりフルスイングした場合に限るということを頭の中に入れておくこと。バンカーショットの場合、自分がイメージした振り幅よりも小さくなりがちです。ボールを直接打つと飛び過ぎてしまうという不安があるからかもしれませんが、ホームランを恐れず、勇気を持って振り幅を大きくしましょう。
アウトサイドにクラブを上げてインサイドに振り下ろしているのに、ボールが上がらず、アゴに当たってしまう人もいると思います。その原因は、ダウンスイングでクラブと一緒に体が目標方向へ流れているからです。これはシャンクにもなるので要注意です。頭の位置を動かさずに、クラブを下ろすように心がけましょう。
ボールの位置はスタンスの中央。ボール1個分ぐらい左足を下げてオープンスタンスに構えます
クラブをアウトサイドに上げるのは通常のバンカーショットと同じです
勇気を持って大きなバックスイングをとりましょう
砂の中にヘッドを潜り込ませます
最後までしっかりと振り抜きましょう
◆教えてくれたのは…渡邉彩香プロ
わたなべ・あやか/93年生まれ、静岡県出身。初優勝は14年。15年は飛距離を武器に年間2勝。その後、シード落ちを喫したが、2021年は見事シード復活を果たし、賞金ランキング14位で20-21シーズンをフィニッシュ
撮影/村上悦子 取材・文/山西英希 取材協力 凾南ゴルフ倶楽部