3季ぶり12回目のシード権を獲得した藤田さいきプロ。平均飛距離は245・14ヤードと衰え知らず。今回のテーマはアイアンショットです。距離感と方向性を高めてグリーンをとらえられるコツを教えてもらいました。
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◆ダウンブローが基本ですが、意識しすぎるのもよくないです
レッスンに通われている方やレッスン情報を読んでいる方は、アイアンショット＝ダウンブローで打つという意識を持っていると思います。ダウンブローとは日本語的にいえば、上から打ち込むという表現になります。ティアップしたボールを打つドライバーと違い、地面にあるボールを打つアイアンは、この打ち込むスイングが最適です。クラブの設計上もボールが上がりやすく、スピン量も増えます。ショットごとの距離のばらつきもなくなりグリーンをとらえられる確率も上がると思います。
プロのアイアンショットを見ると、ボールとともに削った芝が飛び散ります。これはボールの手前の芝ではなく、ボールの先の芝を削っているのです。ボールの手前の芝を削るとダフりですから。ボールの先の芝が削れることでダウンブローに打っているといえます。
ボールとともにボールの先の芝が削れるのがダウンブローに打っている証拠
しかしですね、個人的には、あまりダウンブローに打とうとか打ち込もうという意識は持っていません。バックスイングで上げたところをダウンスイングでも同じようにクラブが下りてくれば、これだけでもダウンブローになります。あえて打ち込むという必要がないのです。結果的にダウンブローに打っている感じです。
打ち込む意識が強すぎるとダウンスイングからアウトサイドインのカット軌道になって、フェースが開いて当たりがちです。ボールがつかまらない、右にばっかり飛ぶという方は、打ち込む意識を抑えてもいいでしょう。ただし、番手ごとに飛距離の差が出ないとかすくい打ちの傾向の方は、最初は打ち込む意識を持ってもいいと思います。
◆スイングの最下点の手前でボールをヒットする
私はスイングの最下点の手前でボールを打つ感覚です。スイングを正面から見ると、ヘッドの動きは振り子のように円を描くのが理想です。このヘッドが描く円の一番低い位置が最下点となります。
ボールがスイングの最下点とイメージすると、ダウンスイングでできた手首の角度（コック）がほどけてしまい、ヘッドはボールの手前に落ちてダフります。スイングの最下点はボールの先です。ボールの赤道にヘッドが当たって、その先の芝が最下点になります。
最下点は体の真ん中よりも左になります。これはダウンスイングで左サイドにウェートシフトすることが影響しています。ミドルアイアンぐらいならボール位置は体の真ん中か、ボール半個分左に足寄りに置くと、ボールの先にスイングの最下点をイメージしやすくなると思います。
スイングの最下点をボールとイメージするとコックがほどけて、ボールの手前にヘッドが落ちてダフります。またフェースが開いて当たりやすい
スイングの最下点はボールの先です。ボールの赤道にヘッドが当たるイメージでちょうどいいダウンブローになります
◆打って終わりのパンチショットでインパクトを意識する
アイアンショットはグリーンを狙う際に使うクラブです。狙ったところに打ち出すことが大切です。アマチュアの方からも「ラインを出したい」という声を聞きます。
ラインを出すためには、まずインパクトでフェースが真っすぐ向いてボールに当たらないといけません。狙ったところに打ち出せないという方のほとんどは、インパクトでフェースが開いて、当たり負けしています。
当たり負けしない強いインパクトを手に入れるために、パンチショットの練習がオススメです。プロがラインを出したり、低い球を打つときに使うショットです。
イメージ的にはヘッドでボールをパンチしてつぶします。ボールを真ん中より１個分右に置いて手元は左足太モモの内側の前で構えます。自然とハンドファーストの形になります。そして、トップスイングまで上げて、アドレスの位置に戻すように振り下ろしてボールを打ったら終わり。最後まで振り抜く必要はありません。
これでフェースは真っすぐ向いたままインパクトを迎えられ、パンチショットになります。
これで狙ったところに打ち出す練習をしてください。
◆頭が左に流れず“逆く”の字をキープする
ダウンスイングで頭が左に流れたり、手首の形がアドレス時よりもほどけて当たるとパンチショットにはなりません。頭の位置はアドレスより左にいかないこともポイントです。
アドレスを正面から見ると右腕とクラブで“逆く”の字の形をしています。この形のままインパクトを迎えます。ダウンスイングで手首のコックがほどけると、“I”字だったり“く”の字になってしまい、ボールをつぶすことができないので注意しましょう。
パンチショットを練習していたら、必ずアイアンはうまくなります。ダウンブローに打ってインパクトでフェースが真っすぐなら、縦の距離感、横の方向性も抜群に安定しますよ。
アイアンがうまくパンチショット
ボールを真ん中より右に置いて、手元は左足太モモの前のハンドファーストの構えになります。バックスイングを上げて、インパクトはクラブをアドレスの位置に戻すように下ろしてボールをつぶすイメージ。そしてボールを打ったら終わりです。
ダウンスイングで頭や体が目標方向に流れてはダメです。また、手首のコックをほどくとフェース面が変わってしまうので、アドレスの“逆く”の字をキープしましょう
教えてくれたのは…藤田さいきプロ
ふじた・さいき/1985年11月22日生まれ、栃木県出身。ツアー通算5勝。2004年プロ転向。05年にツアーデビューし、06年から12年連続でシード保持。20―21シーズンは賞金ランキング28位で3季ぶりにシード復帰。ツアーでの平均飛距離は、36歳にして245・14ヤードで15位と飛距離は健在。2022年は11年ぶりの優勝を目指す。チェリーゴルフ所属。
撮影／村上悦子 取材・文／小高拓 取材協力／鶴カントリークラブ（栃木県）
