3季ぶり12回目のシード権を獲得した藤田さいきプロ。平均飛距離は245・14ヤードと衰え知らず。今回のテーマはグリーン回りのガードバンカーから簡単に脱出する方法を教えてくれました。砂から一発で出せない人は必見です。
■ヘッドの刃をボールの下に入れるとボールが上がります
グリーン回りにあるバンカーから、きれいに一発で出せると気持ちがいいですよね。でもうまくいかないことが多いですよね。バンカーはハザードと呼ばれるだけあって、花道より難しくて当たり前なのです。確実に一発で出すことを目標にしましょう。
砂の上にボールがあるバンカーから脱出するためには、ボールの下にリーディングエッジと呼ばれるヘッドの刃を入れることがポイントです。そうしないとボールが浮かないのです。逆にいえば、リーディングエッジがボールの下にさえ入れば、簡単に脱出できます。
リーディングエッジをボールの下に入れることでボールは簡単に出せます。これがバンカーショットの肝です
バンカーというとアゴが高いことが多く、ボールを高く上げたいと思うかも知れません。しかし、これがミスの元です。ボールを高く上げようと意識すると、体の右側が下がってクラブが低い位置から下りてきやすくなります。そうすると、フェースが開いた状態でボールのだいぶ手前の砂から入ってしまいます。これではリーディングエッジをボールの下に入れることはできません。
「バンカーショットはオープンスタンスに構えて、フェースを開いて、カットに振る」。バンカーのセオリーとしてよく言われます言葉です。たしかに、ゴルフに慣れている方や上級者の方はこれで上手くいくかも知れません。しかし、バンカーが苦手という方にはもっと優しい打ち方があると思います。
ボールを上げようとする動きはもちろんのこと、「オープンスタンス、フェースを開く、カットに振る」というバンカーの“セオリー”は苦手な方には難しい
■左足体重に構えて、そのまま打ち込みます
私のオススメは、サンドウェッジを使って「クローズスタンス、フェースは開かない、打ち込む」です。なぜこの形がいいかといいますと、しっかりと上から打ち込めて、ボールの下にリーディングエッジが入りやすくなるからです。ドライバーのイメージでアッパーブローの動きで脱出するには高度な技術が必要です。地面のボールを打つアイアンなどと同じように、しっかり打ち込むことが大切なのです。
クローズスタンスは真っすぐ構えた状態から右足を半歩後ろに下げます。後ろから見て、足を結んだ線が目標方向より右に向く形になります。
そしてボールは左足カカト線上に置いて、7:3ぐらいの左足体重で構えます。この時、左右均等の体重配分で構えた状態から頭の位置は動かさずに、左足の内側にかけるように左足体重を作ります。フェースは真っすぐ、もしくはフェース面が目標方向より少し左を向く、いわゆる「閉じる」形でもいいと思います。サンドウェッジはロフト角が多いので、少しぐらいフェースを閉じてもボールは高く上がります。ロフトを信用してください。
あとは、構えたときの左足体重を保ったままクラブを振り上げ、ボールの少し後ろにヘッドを落とすように打ち込むだけです。無理にフィニッシュまで取らなくてもOKです。「左足体重で、上からドン!」。この意識で出ない場合は、頭が左に突っ込んでいたり、右足体重になっている可能性があるので注意しましょう。
真っすぐ構えた状態から右足を半歩後ろに引いてクローズスタンスを作る。ボールは左足カカト線上に置いて、左足に多く体重をかける。打ち込みやすい構えになる。フェースは開かずに真っすぐが少し閉じるぐらいでOK
構えたときの左足体重のままトップスイングまでクラブを上げて、ボールの手前にヘッドを落とします。打って終わりでも構いません。リーディングエッジがボールの下に入りこんでボールが上がります。フィニッシュまで左足体重をキープしましょう
教えてくれたのは…藤田さいきプロ
ふじた・さいき/1985年11月22日生まれ、栃木県出身。ツアー通算5勝。2004年プロ転向。05年にツアーデビューし、06年から12年連続でシード保持。20―21シーズンは賞金ランキング28位で3季ぶりにシード復帰。ツアーでの平均飛距離は、36歳にして245・14ヤードで15位と飛距離は健在。2022年は11年ぶりの優勝を目指す。チェリーゴルフ所属。
撮影/村上悦子 取材・文/小高拓 取材協力/鶴カントリークラブ(栃木県)