アベレージゴルファーと上級者の違いはいろいろありますが、アイアンショットもその一つです。方向性や距離感の正確性は言うまでもなく、基本的な飛距離が大きく異なります。極端な話、上級者がピッチングウェッジで打つところをアベレージゴルファーは8番アイアンで打ったりします。これでは差が広がる一方です。
そこで今回は小澤美奈瀬プロに、アイアンのロフトに応じた飛距離が出る方法を紹介してもらいましょう!
フェアウェイウッドはグリップチェックで当たりがよくなります!【小澤美奈瀬プロ直伝】
◆本当のハンドファーストインパクトで打ってみましょう!
7番アイアンで打っても、9番アイアンで打っても距離がさほど変わらないという人に共通するポイントがあります。それはボールをすくい打つ動きです。本来、インパクトではそのクラブが持つロフトよりも立った状態でボールをとらえるのが理想だと言われます。例えば、7番アイアンなら6番アイアンや5番アイアンのロフトになる感じです。これはボールに対してすくい打つ動きではなく、ダウンブロー気味にクラブヘッドが下りてくることが前提条件です。
ボールをすくい打とうとすると本来のロフトよりも寝た状態でインパクトを迎えます。クラブフェースが上を向くため、7番アイアンが9番アイアンやピッチングウェッジのロフトになるわけです。これではどんなに力がある人でも飛距離を出すことは難しいでしょう。
アイアンのロフトが立った状態でインパクトを迎えるにはどうすべきだと思いますか? 答えは簡単です。インパクトでハンドファーストの形を作ることです。具体的にいうと、両手がクラブヘッドよりも前にある形になります。ただし、単に両手を目標方向に向かって出せばいいわけではありません。見せかけのハンドファーストでは、フェースが開いた状態で下りてくるため、プッシュアウトやスライス、シャンクといったミスが出るからです。
インパクトではグリップとシャフト、フェース面が一直線になる形をつくり、さらにお腹を回した状態でインパクトを迎えます。その際に両手がヘッドよりも目標方向にある形、それが正しいハンドファーストです。
ハンドファーストインパクトなら、ロフトが立った状態でボールをとらえるため、自然と飛距離が出ます。しかも、フェース面が目標に対してスクエアになっているので、方向性もよくなります。
ボールをすくい打つとフェース面が上を向くので飛距離が出ません
単に手だけを前に出したハンドファーストでは、フェースが開いてしまうので、スライスやプッシュアウト、シャンクといったミスが出るだけです
グリップ、シャフト、フェース面が一直線になり、腰、お腹が回った状態のハンドファーストインパクトをつくりましょう
◆【練習ドリル】シャフトがしなるぐらいまで力を入れること!
いきなり正しいハンドファーストインパクトを身につけろと言われても難しいでしょう。そこでお勧めのドリルを紹介します。
まず、アイアンを1本用意し、フェース面を壁に当ててインパクトの形を作ります。もちろん、両手がヘッドよりも先にくるハンドファーストの形です。ポイントはシャフトがしなるぐらいまでグッと力を入れることです。当然、手の力だけではシャフトはしなりません。お腹に力を入れ、骨盤をしっかりと回しましょう。左足の股関節に体が乗っている感覚がほしいところです。
アベレージゴルファーの方に実践してもらうと、多くの人が単に形だけのハンドファーストをつくりがちです。当然、お腹も動いていません。正しいハンドファーストインパクトではどれぐらいお腹や骨盤が動いているのかを確認し、それをショットのときに再現する意識を持ちましょう。練習場ではゴムマットの段差を利用するのもいいと思います。アイアンショットの飛距離が出ないな、何番アイアンで打っても飛距離が変わらないなと思う人にはこのドリルをぜひ習慣化することをお勧めします。
フェース面をゴムマットに当てます。そこからお腹、骨盤を回してハンドファーストインパクトの形をつくります。このとき、シャフトがしなるぐらい力を入れましょう
腕だけに力を入れてもシャフトはしなりません
◆教えてくれたのは…小澤 美奈瀬プロ
小澤 美奈瀬/おざわ みなせ 1992年2月6日、愛知県出身。全米女子プロゴルフ協会会員。 テレビ、雑誌、ラジオなど多くのメディアにぴっぱりだこの“ツヨカワ”ゴルファー。ひとりひとりに寄り添う指導でレッスン予約も殺到中。ヘッドスピードは50m/sを超え、過去に人気ゴルフ番組で優勝を果たすなど高い実力を持つ。インスタグラムアカウント(@i_am_minase)
撮影/村上悦子 取材・文/山西英希 取材協力/アクアラインゴルフクラブ(アコーディア・ゴルフ)