40ヤード以下の距離を10ヤード刻みで打てても、5ヤード刻みで打てる人はどれだけいるでしょう。さすがに練習量の少ないアベレージゴルファーが振り幅でコントロールするには無理があります。しかし、井上莉花プロによれば、ボールの位置を調整することで、アベレージゴルファーでも5ヤード刻みで打てると言います。
マスターできれば、寄せワンの確率が一気に上がるので、その極意を早速聞いてみましょう!
【教えて!井上莉花プロ】ライン出しショットはフェースローテーションを抑え気味に打とう!
【今回のお願い】40ヤード以下からピンに寄せたーい!
➡振り幅とボールの位置を組み合わせて打ちましょう!
まずは40、30、20ヤードの距離を振り幅で打ち分けるようにしましょう。人によってどの振り幅ならどれだけ飛ぶのか変わりますが、私の場合はサンドウェッジを使って、両手が胸の高さから胸の高さまでぐらいに振るのが40ヤード、ヘソの高さからヘソの高さまでぐらいが30ヤード、腰の高さから腰の高さまでぐらいが20ヤードです。
ボールは通常スタンスの中央に置いていますが、そこからボール1個分右に寄せると、サンドウェッジのロフトが立った状態でインパクトを迎えるので、その分ランが多く出ます。したがって、先ほどの振り幅の距離プラス5ヤードになります。ヘソからヘソの振り幅なら30ヤード+5ヤードで35ヤード飛ぶ計算になるわけです。
反対にボールの位置を1個分左に寄せると、ボールが高く上がり、ランがあまり出ません。先ほどの振り幅の距離マイナス5ヤードだと考えましょう。ヘソからヘソまでの振り幅なら30-5ヤードで25ヤードになります。
同じように20、30、40ヤードの振り幅で、ボールの位置を右足寄り、中央、左足寄りにすることで、プラス、マイナス5ヤードの打ち分けることができます。したがって、15ヤードから45ヤードまで5ヤード刻みで打ち分けることができるわけです。
両手が胸から胸までぐらいの振り幅で40ヤードを打ちます
両手がヘソからヘソまでぐらいの振り幅で30ヤードを打ちます
両手が腰から腰までぐらいの振り幅で20ヤードを打ちます
通常のボール位置がスタンスの中央、そこから1個分ずつ右と左に寄せます
【POINT】エッジからピンまでの距離によってボール位置とスイングの大きさを変える
距離を打ち分けると言っても、グリーンの状況によっては球筋を打ち分ける必要があるでしょう。例えば、ボールからピンまで同じ35ヤードあるとき、ボールから手前のグリーンエッジまでが30ヤード、エッジからボールまでが5ヤードの状況もあれば、ボールからエッジまでが5ヤード、エッジからピンまでが30ヤードの状況もあります。この場合、どちらも同じ30ヤードの打ち方というわけにはいきません。エッジからピンまでの距離が短いなら、キャリー多め、ラン少なめのアプローチが有効ですし、エッジからピンまでの距離が長いときは、キャリー少なめ、ラン多めのほうがラインを出しやすいと言えます。
したがって、ボールから手前のエッジまでが30ヤード、エッジからピンまでが5ヤードなら、40ヤードの振り幅でボールを左足寄りにセットして打ちましょう。ボールが高く上がり、ランが少ないアプローチになります。一方、ボールから手雨のエッジまでが5ヤード、エッジからボールまでが30ヤードだとしたら、30ヤードの振り幅でボールを右足寄りにセットします。ランが多くなる分、ピンに近づきやすくなります。
このように、ボールの位置を変えることによって、5ヤード刻みのアプローチをできるだけでなく、状況に応じた球の打ち分けもできるのです。まずは、自分なりに20、30、40ヤードの振り幅を見つけ、ボールの位置を変えることでどれだけ距離に変化が出るのかを把握することから始めましょう。
エッジからピンが遠いときはボールを右に置いたアプローチが有効
エッジからピンが近いときはボールを左に置いたアプローチが有効
◆教えてくれたのは…井上莉花プロ
1993年生まれ、茨城県出身。163cm。O型。父のすすめで、10歳からゴルフを始める。2014年プロ入り後、ツアーに出場。USGTFティーチング資格取得。現在は、レッスンはもちろん、テレビ・雑誌などで幅広く活躍。YouTubeチャンネル「井上莉花のStance tv」も人気。ウェア契約はCPG GOLF。 Instagram@1124rika
撮影/村上悦子 取材・文/山西英希 取材協力/Aoyama park9ine(Loung9ine)