パワーを必要としないアプローチこそ、女性ゴルファーにはとって武器にしたいテクニックのひとつです。ただ、どのように練習をすれば上達するのか分からない人も多いでしょう。今回は川﨑志穂プロに、「打ちっぱなしで上手くなれるアプローチの練習法」を聞いてみました。
【川﨑志穂プロLESSON】ユーティリティは打ち込むより払い打ちがおすすめです!
◆スコアを作るのはショートゲーム。距離感を養おう!
練習場へ行くと、どうしても長いクラブでボールを打つことが多いと思います。人によっては、ドライバーだけをぶんぶん振り、半分以上のボールを打ってしまうという方もいるでしょう。長いクラブを上手くなりたい気持ちは分かりますが、ツアープロはドライバーの練習はほとんどしません。せいぜい練習量全体の1割ぐらいです。反対にアプローチの練習を多く行ないます。全体の8割ぐらいはアプローチの練習ですね。
結局、スコアを作るのはパッティングを含めたショートゲームです。たとえグリーンを外してもアプローチで1パット圏内へ確実に寄せることができれば、スコアを崩すことはありません。
そこで、アベレージゴルファーの皆さんにもお勧めのアプローチ練習法を紹介します。おそらく練習場へいくと、10ヤード~50ヤードぐらいまで10ヤード刻みに目標があると思います。まずはそれのどれかを狙ってボールを打ってみましょう。ランを含まずに、目標に直接ボールを当てる距離感で打ちます。
例えば、30ヤード先にコーンなどの目標物があったり、何らかの輪が置いてあるとします。そこをキャリーボールで3回当てるか入れるまで練習を続けます。上手くなると、簡単に当てることができるので、その場合は3球連続で当てるまで続けましょう。当たれば楽しいし外せば悔しい、というちょっとしたゲーム感覚でOKです。とくに、あと1球というところで外すと、より一層燃えたりします。気がつくと距離感が身についているんですよね。
もしもレンジに目標物がなければ、30ヤード付近に転がっているボールを探しましょう。できればレーザー距離計で距離を測ってほしいですが、自分の感覚で30ヤードと決めたボールでも構いません。大切なのは、コースでアプローチを行う際に練習場で身につけた距離感を発揮できるかどうかなんです。その意味では、最低でも30ヤードと50ヤードの距離感は身につけてほしいですね。
30ヤード付近にある赤い円を目標にします
練習場では目標を決めて、その目標に3球当てるか入れるかまで続け、距離感を養いましょう
◆メトロノームのリズムに合わせてボールを打つ
私は、10~50ヤードまで10ヤード刻みに打つ練習や、70ヤードぐらいを打つ練習をしていますが、その際に気をつけているのはリズムです。なぜなら、スイングリズムが変わるだけで、同じ振り幅でも飛んだり飛ばなかったりするからです。例えば、腰から腰の振り幅でも、クラブを素早く振れば距離が出るし、ゆっくり振れば距離が出ません。大切なのは、常に一定したリズムでクラブを振ることです。
そのために私が利用しているのは、メトロノームです。スマートフォンのアプリをダウンロードし、その音を聞きながらアプローチしています。私は72のリズムに合わせています。この数字は、メトロノームが1分間に何回の音を刻んでいるかの数字です。60なら1秒に1回音を鳴らしていることになります。したがって、72は1秒よりも少し速いペースで音を鳴らしているわけです。
具体的な方法としては、最初の音でアドレスし、次の音でトップ、さらに次の音でフォローといったイメージです。30ヤードを打つ時も、50ヤードを打つ時も同じリズムで打ちます。まずはリズムを覚え、それから振り幅を整えましょう。
また、普段のラウンドでアプローチするときに使っているクラブを使用すること。そのクラブで上手く打てるようになったら、9番アイアンや6番アイアンでのアプローチにも挑戦しましょう。林から脱出するときに有効です。いきなり、低い球で30ヤード打てと言われても難しいですが、普段から練習しておけば慌てずに済みますからね。
スマートフォンのアプリにあるメトロノームを利用しましょう
最初の音でアドレス
次の音でトップ
さらに次の音でフォロー
距離に関係なく同じリズムでスイングできるようになってから、振り幅による距離の打ち分けを身につけましょう
◆教えてくれたのは…川崎志穂プロ
かわさき・しほ/千葉県出身。ミツウロコグループホールディングス所属。身長170cm。父の影響で7歳からゴルフをはじめる。拓殖大学紅陵高等学校出身。2017年にプロテスト合格。モデル級の長身から放たれるドライバーの飛距離を武器に活躍中。インスタグラム(@shiiiistagram__official)
撮影/村上悦子 取材・文/山西英希 撮影協力/スイング碑文谷