173cmという身長を生かしたダイナミックなスイングで、ビッグドライブを生み出すツアー屈指の飛ばし屋・原英莉花プロ。昨シーズンのドライビングディスタンスは257.26ヤードで堂々の1位です。強い体幹で上半身と下半身の捻転差を最大限に作り、大きなパワーをすべて使いきる素晴らしいスイングは、個人的にとても好みです。
お手本にしたいポイントもたくさんあります。ぜひ、この美しくカッコいいスイングを見て、イメージを頭に焼き付けてください。
◆アドレス
長身ということもありますが、腰の位置が高くスッと力みなく、ラクに構えている印象です。腰を落としてどっしりというより、高い位置からヘッドを見ているという感じでしょうか。
特に背が高い人は、まねしたいアドレスです。
なぜなら、背が高い人が沈み込むと、手の位置が低くなりすぎたり、ライ角が崩れるなどのマイナス要素が出てきがちだから。このように、クラブを吊るような感じでかまえるといいでしょう。
◆テークバック
手先で上げるのではなく、肩と手元の三角形が崩れず、吊っている手をそのまま上げています。
腕を使わず、胸を使い、正面の三角形がキープされています。
ここもまねしたいポイント!
出球が散りやすい人は、始動時のフェース面の管理ができていない人が多いので、できるだけ正面の三角を長くキープして体幹で上げられるようにすると、安定します。
◆トップ
手元の位置は、手で上げたのではなく、カラダの捻転によって到達した高さです。手で上げてトップが安定しない人、オーバースイングの人は、ぜひまねしてください。
◆切り返し
下半身が目標方向に動き始める切り返しのタイミングでも、トップと手の位置が変わっていません。
アマチュアの方は、切り返そうとすと手もついていってしまいがちなので、手の位置を変えずに下半身を切り返すという動きを意識するといいでしょう。難しいことですが、できればまねしてください。
◆ダウンスイング
上半身と下半身の捻れの差によって、手元が一気に低く、カラダの近くに下りてきています。物理的な動きをうまく使っていますね。
手元を低くしたいとき、カタチだけまねして手を低くするのではなく、捻転差を作ることで低く下りてくる、ということを理解することが大切です。また、手がほどけてしまうと、クラブがカラダから遠ざかってしまいインパクトが安定しません。
手元が低く真下に落ちてきているのは、やはり上半身と下半身の捻転差によるもの。
◆インパクト
素晴らしいインパクトです。
手元がここまで低いのに前傾はキープされています。長身の人は腰が出て手が浮いたりしがちなのに、このキープ力は本当にすごいです。
低い位置でボールを捉えると、ボールを強く押すことができ、飛距離につながります。例えば壁に向かってアドレスして、手元が高い位置で壁を押すより、低い位置で押す方が強く感じること同じです。
◆フォロースルー
この位置まで来てもポニーテールが上にあり、バイザーのつばがまだ下を向いています。このアングルでこういう見え方をするプロは、決して多くありません。
素晴らしい! まねするというより、プロフェショナルを鑑賞するつもりで見てほしいです。
前傾をキープしなから左にしっかり回転しているので、左上の高い位置に振り抜けています。カラダごと回っていることがわかります。脚と脚の間もぎゅっと締まり、本当にかっこいい!
◆フィニッシュ
クラブヘッドが目標を指し、手が首に巻き付いています。すべてのパワーを最後まで使い切る素晴らしいスイングの結果が生む、美しいフィニッシュです。
◆原英莉花プロ/プロフィール
1999年生まれ、神奈川県出身。173cm。O型。10歳でゴルフを始める。高校生からジャンボ尾崎を師匠に仰ぐ。18年、2度目の挑戦でプロテスト合格。19年「リゾートトラスト レディス」でレギュラーツアーに初優勝。翌年は、「日本女子オープン」と「ツアー選手権リコーカップ」の国内メジャーを2連勝。昨シーズンは「大王製紙エリエールレディスオープン」で約1年ぶりの勝利を噛みしめた。ツアー通算4勝。昨年度賞金ランク8位。クラブ/ミズノ ウェア/TSIグルーヴアンドスポーツ 所属/NIPPON EXPRESSホールディングス Instagram@ warriorsmilerika_9
◆解説してくれたのは…伊藤祐子プロ
代官山の「K’s Island Golf Academy」インストラクター。豊富なスポーツの経験を生かした一人ひとりに寄り添うレッスンは、予約解禁日に即日満了するほど人気。とくに女性からの信頼が厚い。フォロワー5万人以上の Instagram【@yuko_ito630golf】でレッスン動画などを配信中。会員制サロン「YUKO Premium salon」や、YouTube動画も展開。「ツアープロにティーチングプロがついているように、アマチュアにも同じ方向を見て寄り添い、目標に導いてくれる人が必要です。その存在になれれば幸せです」
取材・文/たかはしよし子 撮影/Getty Images、ALBA.Net