初心者からトップクラスまで幅広くアマチュアを指導する岩本砂織プロのショートゲームレッスン。第2回はラインの読み方がテーマです。
例えばスライスラインと分かっても、ボールの転がるスピードによって、どこを狙うのか変わります。パッティングの成功率を上げるためにも、常にグリーンのスピードを考える習慣をつけておきましょう。
バックナンバーもチェック!「岩本砂織プロ直伝! ワンランク上を目指すパッティング&アプローチ」
◆グリーンに上がったら上りの真っすぐなラインを探そう!
前回は足裏の感覚を呼び戻して、傾斜の度合を足裏から読み取ってもらいました。今回はその感覚を利用してラインを正確に読む方法をレッスンします。
岩本プロ「自分が狙うカップに対してどこが一番高いのかが分かったら、次はどれぐらい傾斜しているのかを把握しましょう。ナショナルチームの選手は練習ラウンドの際、必ず水平器で傾斜を測るんですけど、実際に測ってみますね」
自分が狙うカップに対して一番高いところの傾斜を測ってみると、3・7%という表示が出ました。
岩本プロ「3・7%という数字を聞いてもピンとこないと思います。実は結構高い数字なんですよ。通常、トーナメントではグリーンのスピードを10・5~11フィートに設定しますが、この場合4%以上のところはボールが止まりにくいのでカップを切らないようにしていますから」
ちなみに、今回のグリーンはスピードが9フィートに設定されているので、3・7%でも問題ないそうです。傾斜の度合によって、どれだけ曲がるのかが決まるだけに、正確にラインを読むためには傾斜の度合まできちんと把握する必要があります。
ナショナルチームレベルになると、グリーンに上がった瞬間に傾斜の度合を的確に分かるといいますが、アベレージゴルファーなら、まずは傾斜が大きいのか小さいのかを判断できるようになりましょう。
トップレベルのアマチュアは水平器で傾斜の度合を測り、自分の感覚との誤差を修正する
岩本プロによれば、パッティングのラインを読むのに有効な方法があるそうです。
岩本プロ「カップから半径1mの周囲を歩いてみて真っすぐな上りのラインを探してみましょう。“ゼロライン”と呼びますが、このラインを基準にすると、自分のラインがスライスなのか、フックなのか、上りなのか、下りなのかが分かります」
ゼロラインよりもボールが右にあればフックするし、左にあればスライスするという感じです。あとは、グリーンの速さに応じて狙うポイントを変えていきます。
岩本プロ「自分がラウンドする日のスピードを必ず確かめるようにしましょう。スピードを把握することで、狙うポイントの幅が広がるからです。スピードが遅ければ曲がりを小さめに読みますし、スピードが速ければ曲がりを大きく読みます。傾斜の度合と合わせて考えることで、より目標が明確になります。それに応じてアドレスでの構え方も変わってきます」
傾斜が緩くてスピードが遅ければほぼ真っすぐなラインになりますし、逆に傾斜がきつくてスピードが速ければ、、打ち出す方向を多めに計算して打たなければいけません。それに応じて体の向き(アライメント)も変わります。
また傾斜がきつくてスピードの速い下りのラインは実際のカップの少し手前にカップを想定し、傾斜がきつくてスピードの遅い上りのラインは実際のカップの少し奥にカップを想定することでグリーンスピードの対応が可能です。
岩本プロ「スピードと傾斜のバランスをとれるようになることが、パッティングを上達する秘訣でもあります」
まずは、練習グリーンで実際にボールを転がし、スピードと傾斜の関係を自分なりに感じてみましょう。
◆読者モデル吉澤早苗さんの感想
吉澤さん「今まではカップの周りを歩くことがなかったので、ラインもなんとなくでしたが、真っすぐな上りのラインを見つけることで、より傾斜を意識できるようになりました」
傾斜が分からないときは、ヒザの曲がり具合を確かめましょう。曲がっている足のサイドが高くなっています
傾斜の度合が大きいのか小さいのかを感じることから始めましょう
真っすぐな上りのラインを見つけると、自分のラインがどのようなラインなのかを理解しやすくなります
◆教えてくれたのは・・・
岩本砂織プロ◆LPGAティーチングプロA級。日本オリンピック委員会強化スタッフでもあり、JGAナショナル強化部会の指導者もつとめるスゴ腕コーチ。
2019年12月に「SALTO GOLF 横浜元町 BY Saori Iwamoto」をオープン。“ゴルフとカラダの融合”をコンセプトに、世界基準のゴルフレッスンを提供。
◆撮影協力/ SALTO GOLF 横浜元町bySAORI IWAMOTO
最新機器で世界水準のデータ分析を行い、ゴルフコーチとフィジカルトレーナーがチームとなって、テクニックとフィジカルを強化。今までのゴルフスクールでは体得できなかった「ゴルフとカラダの融合」で、ハンデアップ、飛距離アップを実現! 住所 神奈川県横浜市中区山下町37-8 みなとみらい線元町中華街駅4番出口横 TEL 045-264-8568
取材・文/山西英希 撮影/山代厚男 読者モデル/吉澤早苗