身長151センチと小柄ながら、パワフルなドライバーショットとキレのあるアイアンショットを武器に、国内ツアーで活躍する田中瑞希プロ。今シーズン、シード権獲得はもちろん、ツアー初優勝を狙います。その田中プロが女性アベレージゴルファーのために、スコアアップの秘訣をレッスン!
第10回はダウンブローに打つアイアンショットについて説明します。
◆ダウンブローに打つとボールが上がり、距離も出る
皆さんはダウンブローということばを知っていますか? クラブヘッドをボールの上から下ろしてくる打ち方を言います。スイングの最下点がボールの先にあるため、芝を削った跡がボールよりも目標寄りにできます。ボールにしっかりとスピンがかかるため、ボールが上がりやすく、グリーンに落ちた後も止まってくれます。
ただ、アマチュアでも男性ゴルファーならそのような打ち方ができるでしょうが、力のない女性ゴルファーには難しい打ち方ではあります。実際、アイアンショットの後に、芝を削った跡ができる人は非常に少ないでしょう。多くの人は、ボールの手前にスイングの最下点があるすくい打ちになっているからです。
ボールを上げたい気持ちがすくい打ちにつながりますが、これだと上手く当たっても飛距離が出ません。どの番手で打ってもあまり距離が変わらないという人は特にその傾向が強いようです。もうワンランク上を目指したいなら、やはりアイアンショットではボールの上からヘッドを下ろすダウンブローを身につけるべきでしょう。
ボールより先の芝を削り取ることによって、ボールが高く上がるだけでなく、スピンがかかるようになります
◆下半身主導のスイングを心がけよう
それでは、どのようにスイングするとダウンブローに打てるのでしょうか。よくありがちな間違いが、単に上からヘッドを下ろそうとする動きです。腕だけでクラブを上げて下ろす人に見られがちですが、これはスイング軌道がⅤ字になるだけでダウンブローとは言えません。正しいダウンブローは緩やかな軌道でボールをとらえ、そのまま長めに芝を削り取るイメージです。
腕主導ではなく、下半身主導のスイングを心がけましょう。ダウンスイングからインパクトにかけて、下半身が先に動き、その後で上体が動き始めます。最後に腕とクラブが下りてくるのが正解です。
さらに、ダウンスイングではフェース面が上を向かずに、下を向いて下りてくるイメージで下ろすと、インパクトの後にスイングの最下点を迎えるので長めに芝を削り取れるようになります。
ダウンスイングの切り返しは左足に体重を乗せて腰を元の位置に戻すことから始めましょう
フェース面が下を向いて下りてくるように心がけます
◆教えてくれたのは…
田中瑞希プロ たなか・みずき/1998年生まれ、熊本県出身。2019年に3度目の挑戦でプロテストに合格。小柄ながらドライバーの平均飛距離は約243ヤード。今季の開幕戦、アース・モンダミンカップでは3位タイで注目を浴びる。ツアー初優勝を期待される黄金世代のひとり。
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取材・文/山西英希 撮影/鈴木祥