『ゴルフ上達関節調律師』として活躍する山本優子氏。聞き慣れない人もいると思いますが、ゴルフのスコアを上げるために必要な体の使い方を研究し、指導する専門家のことを言います。もっと分かりやすく言うなら、ゴルフが上手くなる体の使い方を教えてくれる先生です。
しかも、ボールを打つ必要はありません。日常生活やラウンドのスタート前に正しい動かし方を行うだけで、飛距離が15ヤードアップするし、スコアも伸びてしまうんです。まずは実際に体を動かしてみましょう!
第11回は『上半身ひねり』についてです。
前回の記事:山本優子先生のボールを打たずに15ヤードアップ! 真っすぐ構えて無駄なく飛ばそう!
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◆上半身の可動域を広げよう!
飛距離が伸びないと悩んでいる人に多いのが、自分ではバックスイングで上半身を捻転しているつもりでも、実際にはそれほど捻転されていないことです。上半身の捻転が浅いため、バックスイングでパワーを貯めることができず、結局腕だけでクラブを振るため、ボールにパワーを伝えることができません。
そこで、練習前やラウンド前にぜひ行ってほしいのが、『上半身ひねり』です。これは24個ある椎骨(頚椎、胸椎、腰椎を形成する骨)を一つずつ下から順番に動かしていくことで背骨を回旋する動きです。ポイントは必ず仙骨からスタートすることです。
ここでもう一度仙骨についておさらいしましょう。仙骨とは骨盤の中央にある逆三角形の骨です。体の中心に位置し、すべての動作の起点となります。体を動かすハンドルのようなものだと考えて下さい。したがって、『上半身ひねり』でも仙骨から動かすところに意味があり、肩側から動かしても、背骨の可動域は広がらないので注意しましょう。
飛距離アップは、バックスイングで上半身をしっかり捻り、パワーを蓄えられるかどうかで決まります
◆上手くできなくても動かしていると意識することが大切
それではもう少し具体的に『上半身ひねり』の手順について説明しましょう。まず、直立した姿勢か、座った姿勢でも構わないので、背筋を伸ばした状態をつくります。直立した場合、足をスタンス幅ぐらいに広げましょう。どちらの姿勢でも両手は胸の前で交差します。
バックスイングと同じように上半身を右に回しますが、その際、仙骨から椎骨を一つずつ下から動かすイメージで背骨を回旋します。うまくできない人はだれかに回そうとする椎骨を触ってもらうと動かせるようになりますが、自分しかいないときは下から一つずつ動かしている意識を持ちましょう。仮に上手くできていなくても椎骨を下から動かしていると意識することで回旋しやすくなります。
右への回旋した後、今度は左に回旋しましょう。スムーズに背骨を回旋できるようになったら、直立姿勢ではなく前傾姿勢で行うと、よりゴルフスイングに近づくのでバックスイングやダウンスイングからフィニッシュにかけての動きをイメージできます。
このエクササイズの後に素振りをしてみると、可動域が広がっていることを体感できると思います。ビュンという音が鳴ればしめたものです。スイングスピードがアップしているので、確実に飛距離が伸びるはずです。
直立した姿勢で足を広げ、両手を胸の前で交差します。慣れてきたらゴルフスイング同様に上半身を前傾しましょう
仙骨から順番に椎骨を1個ずつ右に回していきましょう。次に左へ同じようにまわしていきます。このエクササイズの後に素振りを行うと、体の可動域が広がっていることを感じられます
取材・文/山西英希 撮影/鈴木祥 取材協力/井山ゴルフ練習場
◆教えてくれたのは…
山本優子 やまもと・ゆうこ/1992年生まれ。柔道整復師。体の改善を行う独自の治療技術「脱力関節調律」メゾットを開発。その技法を用いてゴルフに特化した「ゴルフ関節調律」メゾットも確立。年間の指導実績は1000件以上で、平均15ヤードの飛距離アップに成功。東京・恵比寿のサロン「naturaca」代表。(一社)日本脱力調律協会代表理事。著書に『目かくしゴルフ』がある。