初心者からトップクラスまで幅広くアマチュアの指導を行う岩本砂織プロのショートゲームレッスン。第8回はアプローチでのダフリを防止する方法を紹介します。
ボールの手前をダフると、極端に距離が出ないためグリーンに届かなかいことも……。確実にボールをクラブフェースの芯でとらえるには、インパクトの形が大事だと岩本プロは指摘します。まずはハンドファーストの形でボールをとらえるドリルに挑戦してみましょう。
バックナンバーもチェック!「岩本砂織プロ直伝! ワンランク上を目指すパッティング&アプローチ」
◆ハンドファーストインパクトからボールを打ってみよう!
アプローチではボールの手前をダフることが悩みという読者モデルの吉澤早苗さん。確実にグリーンへボールを乗せられるようにしたいとのことですが……。
岩本プロ「それではまず、テークバックをとらず、フォロースルーだけでボールを前に飛ばしてみましょう。クラブヘッドをしっかり前に出して下さいね」
吉澤さん「こんな感じですか?」
岩本プロ「今、吉澤さんはアドレスの形からヘッドを出しましたが、今度はハンドファーストインパクトの形をつくってから同じようにフォロースルーだけでボールを前に飛ばして下さい」
ボールよりも両手が目標に近いハンドファーストインパクトの形をつくった吉澤さん。岩本プロに言われた通りにヘッドを前に出すと、なんと勢いよくボールが飛んでいきました。
岩本プロ「ボールの勢いが全然違いますよね? ハンドファーストに構えたほうがボールを押せるんです。パターで試すとよく分かりますよ」
吉澤さんがパターでハンドファーストインパクトの形をつくり、フォロースルーだけでボールを転がしてみます。
吉澤さん「うわっ、全然違いますね!」
岩本プロ「ダフリを防ぐには、正しいインパクトの形=ハンドファーストインパクトの形を覚えることが先決です。吉澤さんはインパクトでヘッドが先行していたからダフリが多かったと思われます。両手が先行していけば、体が止まらない限り、ダフることはありません」
吉澤さん「以前は手首を前に出す意識もなく、ハンドファーストの形を作ること自体が苦手でした」
岩本プロ「右足に体重が乗っても、体の軸が左に傾きすぎてもハンドファーストの形はつくれません。腰を少し開いて、軸が傾かない形で構えると、ハンドファーストインパクトをつくりやすくなりますよ」
ハンドファーストインパクトの形をつくったら、そのまま体を回しながら、ヘッドを目標に向って出しましょう。
腰を少し開き、体の軸を傾けずにハンドファーストインパクトの形をつくります。そこからテークバックを行なわずに、フォロースルーだけでボールを押していきます
最初はパターで試してみましょう。ハンドファーストに構えるとボールを押せるようになります
◆グリップエンドを自分のおへそに向けましょう!
ハンドファーストインパクトドリルを練習している吉澤さんに岩本プロからアドバイスが。
岩本プロ「もっと振り抜いちゃいましょうか。両手が腰の高さにくるぐらいまでいってみましょう! ただし、ヘッドと腕が地面から離れてしまうとボールに力が伝わりません。インパクト後は手首が返っても構わないので、グリップエンドが自分のおへそを指すような形をつくって下さい」
吉澤さん「こんな感じですか?」
岩本プロ「そうです! すごいカッコイイですよ!」
インパクトからフォロースルーにかけて腰を回しているため、両手が腰の高さにくるまで振り抜いたときには、体は目標に正対した形になります。
岩本プロ「できれば、左ヒジをちょっと緩めた形になるといいですね 。肘を緩める意識で行う事で、結果的に自然に手が返ってきます 」
岩本プロのアドバイスにより、徐々に自信を持ち始めた吉澤さん。すると、岩本プロから他のクラブで打つように提案されました。
岩本プロ「ウェッジだとヘッドがボールの下を潜るかもしれないので、7番アイアンに替えてみましょう。インパクト以降の動きだけで打つドリルを試して下さい」
ボールをスタンスの真ん中に、両手を太モモの前にセットして同じように打ってみると、またしてもボールは勢いよく飛んでいきました。
岩本プロ「ほうきでゴミを掃くイメージでヘッドを動かすといいですね。それでは、いよいよウェッジでアプローチしてみましょうか」
今回はテークバックをとって、普通にボールを打ちます。ダフリ癖のあった吉澤さん。はたして上手く打てるでしょうか?
すると、今まで聞いたことのないコーンというインパクト音とともに、ボールはピンに向かって飛んでいきました。見事、ダフリが解消されていたのです。
岩本プロ「アプローチではそれほど大きくはクラブを振らなくても大丈夫です。おへそを止めないように体を動かしましょう」
◆読者モデル吉澤早苗さんの感想
吉澤さん「今までのアプローチとは打った感触がまるで違います。ハンドファーストに構えるだけでこれほどまで変わるとは。これならダフらない気がしますね」
フォロースルーでヘッドと腕が地面から離れてしまうと、ボールに力が伝わりにくくなります
インパクト後は手首を返しても構いません
グリップエンドが自分のおへそを指すような形をつくりましょう
左ヒジは突っ張らずに、少し緩めた形にします
ウェッジに持ち替えてアプローチしてみると、ダフることなく、クリーンにボールをヒットできました
◆教えてくれたのは・・・
岩本砂織プロ◆LPGAティーチングプロA級。日本オリンピック委員会強化スタッフでもあり、JGAナショナル強化部会の指導者もつとめるスゴ腕コーチ。
2019年12月に「SALTO GOLF 横浜元町 BY Saori Iwamoto」をオープン。“ゴルフとカラダの融合”をコンセプトに、世界基準のゴルフレッスンを提供。
◆撮影協力/ SALTO GOLF 横浜元町bySAORI IWAMOTO
最新機器で世界水準のデータ分析を行い、ゴルフコーチとフィジカルトレーナーがチームとなって、テクニックとフィジカルを強化。今までのゴルフスクールでは体得できなかった「ゴルフとカラダの融合」で、ハンデアップ、飛距離アップを実現! 住所 神奈川県横浜市中区山下町37-8 みなとみらい線元町中華街駅4番出口横 TEL 045-264-8568
取材・文/山西英希 撮影/山代厚男 読者モデル/吉澤早苗