初心者からトップクラスまで幅広くアマチュアの指導を行う岩本砂織プロのショートゲームレッスン。第10回はシャンクが出る理由とその対処法を紹介します。
ボールが右斜め45度の角度で打ち出されるのがシャンクです。アイアンショットでも見られますが、グリーン周辺のアプローチでもシャンクに悩む人は少なくありません。思いがけない方向へのミスだけに、精神的なショックも大きく、できれば避けたいところ。
岩本プロによれば、アドレスを変えることで、シャンクは防げるとのこと。早速、その極意を教わりましょう。
バックナンバーもチェック!「岩本砂織プロ直伝! ワンランク上を目指すパッティング&アプローチ」
◆ショットの構えでボールを上げにいくとシャンクに
これまでのレッスンで格段にアプローチが上達してきた読者モデルの吉澤早苗さん。ところが、本人にはたまにグリーン周りでシャンクが出るという悩みがあるそうです。
岩本プロ「シャンクが出るとしたら、原因は2つ考えられます。1つがインパクトで両手を目標方向に出していること。これは、ボールを上げたいがために、アドレスでのロフトをキープしたまま振ろうとするからです。その結果、クラブフェースが開いたままネックからクラブヘッドが下り、ホーゼル(※ゴルフクラブのヘッド部分とシャフトを接合するパーツ)のところでボールを打ってしまうため、シャンクが出ます」
吉澤さん「確かにフェースを開いてボールを上げようとしたときにシャンクが出ますね」
岩本プロ「2つ目の原因は、クラブの動かし方にあります。吉澤さんはアプローチの際、ヘッドを真っ直ぐ引いて、真っ直ぐ出そうと思っていませんか?」
吉澤さん「なるべく真っ直ぐ引いて真っ直ぐ出そうとしています」
岩本プロ「実は私たちプロゴルファーには、真っ直ぐ引いて真っ直ぐ出す動きはありません。アプローチでも体の回転に伴ってクラブを上げているからです。小さな動きの中でクラブを真っ直ぐ引いて真っ直ぐ出そうとすると体が固まってしまい、シャンクのようなミスが出てしまいます」
窮屈な動きでスイングすると、アドレスの位置にヘッドが戻りにくくなります。フェースが開いてネックからヘッドが下りてくると、やはりシャンクになる確率が高くなります。
インパクトで両手が目標方向に出ると、ネックから先にヘッドが下りてくるため、ホーゼル部分でボールをヒット。その結果、シャンクが出ます
アプローチでヘッドを真っ直ぐ引いて真っ直ぐ出そうとすると、体が固まってしまい、ヘッドがスムーズに動かなくなります
やはりホーゼル部分でボールをヒットし、シャンクが出ます
◆パターと同じようにクラブを持ち、同じようにストロークしてみましょう
それでは、どうすればシャンクを防げるのでしょうか。
岩本プロ「その前にパターの構えをつくってもらえますか?」
吉澤さん「はい」
岩本プロ「次に、アプローチウェッジを渡しますので、パターと同じように構えて下さい。パターと同じライ角になるようにすると、手の位置が少し上がって肩に力が入りますね。それを防ぐためにクラブを短く持って、ボールに近づいてみましょう。今度はシャフトが真っ直ぐになって、パターと同じように構えることができたと思います。あとはパターと同じようにストロークするだけです。これでシャンクはまず出ません」
さすがにパッティングでシャンクが出る人はなかなかいないでしょう。ショットのように構えないため、インパクトで両手が目標方向に出ることも、体が固まることもないため、狙ったところにボールを打ち出せます。
岩本プロ「実際に打ってみると分かりますが、アプローチウェッジを使い、パターと同じように構えて、同じようにストロークすると、ボールは少し上がります。そのため、ランがあまり出ません。ピンが近いときにこの打ち方を行なえば寄る確率も高くなります。シャンクの心配もなく、ボールを上げることができるわけです」
吉澤さん「ピンが遠いときは振り幅を大きくするんですか?」
岩本プロ「 あくまでもこの構え方は、パターを使用した時に最大でストローク出来る振り幅です。無理に振り幅を大きくするよりも、落ちたところからランでボールを転がしたいときは、クラブを替えたほうがいいでしょう。8番アイアンなら30ヤードぐらいは距離が出ます」
シャンクに限らず、ザックリやトップといったミスが出る人にもこの打ち方は有効です。自分なりにどれぐらいボールが上がり、距離が出るのか実践してみましょう。
◆読者モデル吉澤早苗さんの感想
吉澤さん「今まで打ったことのないアプローチの感覚でした。引き出しが1つ増えた感じです(笑)。わざわざボールを上げようとする必要はないんですね。これだとチップインもできそうな気がします」
最初にパターで構えます
パターをアプローチウェッジに替えます
パターのライ角に合わせます
ボールに近づき、クラブを短く持つと、シャフトが真っ直ぐになり、パターと同じようにストロークしやすくなります
パターと同じように打つと、シャンクだけでなく、トップやザックリといったミスも防げます
◆教えてくれたのは・・・
岩本砂織プロ◆LPGAティーチングプロA級。日本オリンピック委員会強化スタッフでもあり、JGAナショナル強化部会の指導者もつとめるスゴ腕コーチ。
2019年12月に「SALTO GOLF 横浜元町 BY Saori Iwamoto」をオープン。“ゴルフとカラダの融合”をコンセプトに、世界基準のゴルフレッスンを提供。
◆撮影協力/ SALTO GOLF 横浜元町bySAORI IWAMOTO
最新機器で世界水準のデータ分析を行い、ゴルフコーチとフィジカルトレーナーがチームとなって、テクニックとフィジカルを強化。今までのゴルフスクールでは体得できなかった「ゴルフとカラダの融合」で、ハンデアップ、飛距離アップを実現! 住所 神奈川県横浜市中区山下町37-8 みなとみらい線元町中華街駅4番出口横 TEL 045-264-8568
取材・文/山西英希 撮影/山代厚男 読者モデル/吉澤早苗