タフな場面でも絶好のポジションからでも、どんなシチュエーションにおいても“クラブを効率よく使うこと”が大切なのは変わりません。その上で、ボールが置かれた状況を冷静に分析し、どの番手ならスイングを変えずにボールをちゃんとヒットさせられるかの見極めが大事になります。
とはいえ、“イチかバチか”さえ選ばなければ、番手選びは意外とシンプル。中村香織プロに、状況別の番手選びについて教えてもらいました。
【林からの脱出】8番アイアンを7割の力で振ろう
林の中はフェアウェイほど地面がしっかりしていないケースが多く、少しふわっとしているので、ダフって脱出できないのを回避するべく、ボールはやや右寄りにセットしましょう。
どれくらいの高さで、どれくらい振るのか。林からの脱出でまず見極めるべきはその2つです。確実に出したいと思ったら、フルショットは避けるのが賢明です。ただ、6Iや7Iのハーフショットよりも、8Iや9Iの7〜8割のショットの方がやさしいので、確実な方を選んで。
【手強いラフ】ピッチングでインパクトゾーンを長く取るイメージで
写真のような深いラフの場合は、芝の抵抗を極力減らせる短い番手を選択するのが正解。打つ際は力でねじ込むのではなく、力感を抜いてボール前の芝ごと刈り取るイメージを持つと、遠心力できれいにクラブが抜けるはずです。
【フェアウェイバンカー】ボールのポジション次第で3パターン考える
フェアウェイバンカー内でのスイングは、フェアウェイで打つ際とひとつも変わりません。ただし、ボールが少し砂に沈んでいるぶん、フルショットはNG。7割の力感を意識しましょう。距離を稼ぎたいからと、ガチガチに力を入れるのは逆効果です。
番手はバンカー内でのライとアゴの高さを確認した上でチョイスを。フラットならユーティリティ、やや打ち上げなら8I、アゴが気になるならAWを目安に。
【残り50ヤードのアプローチ】ピン位置次第で9番アイアンかアプローチウェッジの2択
「花道からのアプローチ、ミスしたくない!」。そんなシーンではファーストバウンドでグリーンに乗せることを最優先に考えて。その上で、ランをどれくらい出すかはピン位置次第です。基本的にはセンターより手前ならAW、センターより奥なら9番とシンプルに考えましょう。
【ハザード越えアプローチ】サンドウェッジをリズムよく大きく振る
リズムよく振って、ランを出さない方が失敗が少ないシチュエーション。だから番手はSW1択。PWを軽めに打って合わせる、なんて考えない方がベターです。まずはちゃんとヒットさせて、ハザードを越えることを優先させましょう。オーバーしてもやむなし、です。
◆教えてくれたのは…中村香織プロ
1986年生まれ、京都府出身。中学時代にゴルフを始め、2007年プロテストに合格。ステップアップツアー3勝。2015年にツアーを引退し、2017年からティーチングプロとして活動をスタート。現在は、五反田と洗足に「East Golf School」を開校し、マンツーマンのゴルフレッスンを行うほか、ゴルフメディアでも活躍中。Instagramアカウント:@eastgolfschool
Regina2024年秋冬号掲載 撮影/鈴木克典 エディター/一寸木芳枝 撮影協力/南総カントリークラブ