『ゴルフ上達関節調律師』として活躍する山本優子氏。聞き慣れない人もいると思いますが、ゴルフのスコアを上げるために必要な体の使い方を研究し、指導する専門家のことを言います。もっと分かりやすく言うなら、ゴルフが上手くなる体の使い方を教えてくれる先生です。しかも、ボールを打つ必要はありません。日常生活やラウンドのスタート前に正しい動かし方を行うだけで、飛距離が15ヤードアップするし、スコアも伸びてしまうんです。まずは実際に体を動かしてみましょう!
第2回は『肋骨呼吸』についてです。
前回の記事はこちら:山本優子先生のボールを打たずに15ヤードアップ! 正しい寝返りってできますか?
◆飛距離が伸びないのは呼吸に原因があった!?
人間にとって1日約2万回行う呼吸は大切なものですが、ゴルファーにとっても呼吸は必要不可欠です。なぜなら、呼吸を正しく行うことで、肋骨がしっかりと動き始めるからです。同時に肋骨と関節を形成している胸椎も動きます。胸椎の動きがよくなることによって、体をスムーズに捻る動きができるようになります。つまり、バックスイングで上体をしっかりと捻転することができるわけです。
上体を捻転できれば、パワーも十分貯まり、それをダウンスイングからインパクトにかけて解放することで飛距離アップにつながります。
普通に生活しているのだから呼吸を正しく行っていると思い込む人もいるかもしれませんが、現代人にとってそれは正しい解釈とは言えません。なぜなら、ストレスや緊張で無意識のうちに呼吸が浅くなったり、止めてしまっている人が多いからです。その結果、捻転度合が低くなり、力の伝達が上手く行えず、飛距離も伸びません。まずは呼吸を正しく行うことを意識してみましょう。
「呼吸を意識することで、飛距離が伸びるんですよ」
「えっ、本当ですか!? 意識して呼吸をしたことなんてありませんでした」
◆肋骨の開閉をイメージしましょう
それではどのように呼吸をするべきか説明しましょう。大切なのはイメージです。息を吸うことによって肺が肋骨いっぱいに広がっていき、肋骨が開くことをイメージします。反対に息を吐くときは肋骨が閉じる姿をイメージしましょう。吸うと開いて、吐くと閉じる感じです。
肋骨がしっかりと動くことで胸椎の胸のあたりがよく動くようになります。その結果、バックスイングでしっかりと上体を捻転できます。
呼吸をイメージしにくい人は、空気がある程度抜けたボールをワキに挟んで行うと肋骨の動きを感じられると思います。左右のワキに同時に挟むのではなく、片方ずつ行うのがポイントです。鼻からしっかりと息を吸いますが、肩が上がらないように気をつけましょう。
空気が抜けたボールをワキに挟みます
鼻から息を吸って、肺が膨らむことで肋骨が開いていることを感じましょう
息を吐くことによって、開いた肋骨が閉じます
息を吸うときに両肩が上がるのはNGです
◆教えてくれたのは…
山本優子 やまもと・ゆうこ/1992年生まれ。柔道整復師。体の改善を行う独自の治療技術「脱力関節調律」メゾットを開発。その技法を用いてゴルフに特化した「ゴルフ関節調律」メゾットも確立。年間の指導実績は1000件以上で、平均15ヤードの飛距離アップに成功。東京・恵比寿のサロン「naturaca」代表。(一社)日本脱力調律協会代表理事。著書に『目かくしゴルフ』がある。
取材・文/山西英希 撮影/鈴木祥 取材協力/井山ゴルフ練習場