『ゴルフ上達関節調律師』として活躍する山本優子氏。聞き慣れない人もいると思いますが、ゴルフのスコアを上げるために必要な体の使い方を研究し、指導する専門家のことを言います。もっと分かりやすく言うなら、ゴルフが上手くなる体の使い方を教えてくれる先生です。しかも、ボールを打つ必要はありません。日常生活やラウンドのスタート前に正しい動かし方を行うだけで、飛距離が15ヤードアップするし、スコアも伸びてしまうんです。まずは実際に体を動かしてみましょう! 第7回は『前傾でんでん』についてです。
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◆まずは腕を脱力してみよう
でんでんシリーズ第3弾は『前傾でんでん』です。これは前回説明した『立位でんでん』のエクササイズと基本的には同じです。文字どおり上体を前傾して行います。いよいよゴルフのスイングに近づいてきましたが、同時に一つ問題があります。第1回で紹介した『胸椎でんでん』は寝転がって行うもので、『立位でんでん』は直立した姿勢で行いました。つまり、ゴルフスイングを意識することなく行えるので、スムーズに背骨から回す動きができたと思います。ところが、上体を前傾した途端、ゴルフスイングをイメージするため、悪いクセが出てしまいやすいのです。
普段のスイングでクラブを手で上げている人は、かなりの確率で『前傾でんでん』でも手から始めてしまいがちです。それを修正するには背骨から動かす意識を持つことです。その感覚を思い出す意味で、『立位でんでん』に戻るのも一つの方法でしょう。それでもまだ手から動いてしまう人は『胸椎でんでん』に戻っても構いません。腕に力が入っているとどのでんでんでも背骨から動かすことが難しくなるので、まずは腕をリラックスすることから始めてみましょう。
『前傾でんでん』を行う際に手から動いでしまう人は、『立位でんでん』や『胸椎でんでん』に戻って背骨から動かす感覚を思い出しましょう
◆“パチン”といい音がしたらOK!
それでは具体的に『前傾でんでん』について説明します。まずはアドレスをつくるつもりで足を肩幅ぐらいに広げ、上体を前傾しましょう。地面に向かって前ならえの形をつくり、両手を合わせます。両ヒザは軽く曲げておきましょう。
次に、左手を動かさずに右腕だけを右サイドに開きます。このとき、右腕から動かすのではなく、背骨から動かし始めましょう。両腕が一直線になるぐらいまで右腕を開いたら、右腕を元の位置に戻します。このときも背骨から動かすことを忘れずに。右腕を開く動作を数回行ったら、今度は右手を動かさずに左腕を開いて閉じる動作を繰り返します。何度も言いますが、背骨から動かして下さいね。
自分が背骨から動かしているのか、手から動かしているのか見分ける方法として、腕を上げた状態から下ろして手を合わせるときに、“パチン!”といい音が鳴れば背骨から動かしていると判断していいでしょう。腕の力が抜けて、体の中心から動かしている証拠です。反対にちょっと乾いた音がするときは手から動かしていることが多いようです、大切なのは背骨から動かすという意識ですが、このように音も判断材料にして下さい。
足を肩幅に開き、上体を前傾させて地面に前ならえをする。両手は合わせておき、ヒザは軽く曲げましょう
左手を動かさずに、右腕を開きます。両手が一直線になるぐらいまで開きましょう
右腕を数回開いたら、今度は左腕を開きます
取材・文/山西英希 撮影/鈴木祥 取材協力/井山ゴルフ練習場
◆教えてくれたのは…
山本優子 やまもと・ゆうこ/1992年生まれ。柔道整復師。体の改善を行う独自の治療技術「脱力関節調律」メゾットを開発。その技法を用いてゴルフに特化した「ゴルフ関節調律」メゾットも確立。年間の指導実績は1000件以上で、平均15ヤードの飛距離アップに成功。東京・恵比寿のサロン「naturaca」代表。(一社)日本脱力調律協会代表理事。著書に『目かくしゴルフ』がある。