スコアアップしたいならショートゲームの上達は欠かせません。ところが、どのように練習したらいいのか分からない人も多いと思います。
パターマットでボールを転がしたり、30ヤード先の目標に向ってボールを打つことも悪くはありませんが、せっかくならベストな方法を選択したいところ。
そこで、ティーチングプロでありながら、ナショナルチームのテクニカルコーチを務める岩本砂織プロに、パッティングとアプローチを上達する極意を教えてもらいましょう!
◆視覚だけではコースの錯覚にだまされる!?
今回、読者代表として吉澤早苗さんにモデルとなって頂きました。早速、岩本プロから提案が。
岩本プロ「まずは靴を脱いで、グリーンの周囲を歩いてみましょうか。足元を見ながらでもいいし、自分のペースでゆっくりと歩いて下さい」
指示通りにグリーンの周囲を数週歩く吉澤さん。
岩本プロ「それでは質問です。今歩いたグリーンの中でどこが一番高いと感じましたか?」
吉澤さん「えっ、高低差があったんですか!? んー、あの辺ですかね……」
岩本プロ「正解です。吉澤さんは鋭い感覚の持ち主ですね。実は、パッティングのラインを読むうえで、傾斜の度合を正確に把握することは大切なポイントです。ところが、いざコースに出ると周囲の景色に惑わされて、その傾斜を感じ取れないことが少なくありません。それを防ぐために、足裏から傾斜を感じ取ってほしいんです」
確かに視覚に足裏からの感覚も加われば、より正確な傾斜の情報を得られるだろう。しかし、ここで一つ疑問がある。実際のラウンドではさすがにスパイクを脱いでグリーン上を歩けない。その分、足裏から傾斜を読み取りにくいのではないだろうか。
岩本プロ「そこで、ぜひやって頂きたいのが、足裏の感覚を呼び起こすトレーニングです」
◆足裏の感覚を呼び起こそう! 自宅でできるトレーニングも
ここで登場して頂いたのが、京矢彩希トレーナーだ。
トレーナー「このボールの上に足を乗せて、コロコロと足裏をマッサージしてください」
見れば、イボイボのついたゴム製のボールが。なければゴルフボールでも代用できるので、ぜひトライしてみてください。
トレーナー「指のつけ根やカカト、土踏まずなど全体的にまんべんなくマッサージするのがコツです。足裏が気持ちいいと感じるぐらいの強さで行います。その際、カカトを浮かせてボールの上に足が乗った状態で行いましょう」
足の裏全体をイボのついたボールでコロコロとマッサージを行います
吉澤さんには右足だけをコロコロしてもらったところで、再びグリーンの周りを歩いてもらった。
吉澤さん「右足と左足とでは足裏の感じ方がまったく違います!」
効果は早くも表れたようだ。
トレーナー「靴や靴下をはいているのは、ギプスをはめているようなものなんです。感覚器が眠っていると傾斜を感じ取ることはできません。まずは、その感覚器を目覚めさせることが大切なんです」
たしかに、前後左右の傾斜を感じられなければ、ラインを読む以前に安定したアドレスをとることができない。足裏の感覚は正しいストロークをするうえでも必要だといえる。吉澤さんに両足のマッサージを終えた後、今度はスパイクをはいた状態でグリーンを歩いてもらった。
吉澤さん「さっきはなんとなくでしたが、今回ははっきりとどこが一番高いのか感じられるようになりました」
再び岩本プロが登場して吉澤さんにひと言。
岩本プロ「どこが一番高いのか分かれば、自然と正しいラインを読めますよね。それだけでも、カップインの確率は上がると思いませんか?」
大きくうなずく吉澤さんだった。
マッサージの後、スパイクをはいても傾斜の度合が分かったという吉澤さん
京矢トレーナーによれば、足裏を上手く使えている人は、指を内側に曲げたとき、手の拳と同じように関節が浮き出てくるそうです
◆教えてくれたのは・・・
岩本砂織プロ◆LPGAティーチングプロA級。日本オリンピック委員会強化スタッフでもあり、JGAナショナル強化部会の指導者もつとめるスゴ腕コーチ。
2019年12月に「SALTO GOLF 横浜元町 BY Saori Iwamoto」をオープン。“ゴルフとカラダの融合”をコンセプトに、世界基準のゴルフレッスンを提供している。
京矢彩希トレーナー◆BESJ ピラティス・マスターストレッチトレーナーをはじめとした各種資格をもとに、アマチュアからプロダンサーまで体幹トレーニングやコンディショニングを指導。また自身も舞台俳優として多彩に活動している。現在は「SALTO GOLF 横浜元町」でトレーナーとして活躍中。
◆撮影協力/ SALTO GOLF 横浜元町bySAORI IWAMOTO
最新機器で世界水準のデータ分析を行い、ゴルフコーチとフィジカルトレーナーがチームとなって、テクニックとフィジカルを強化。今までのゴルフスクールでは体得できなかった「ゴルフとカラダの融合」で、ハンデアップ、飛距離アップを実現! 住所 神奈川県横浜市中区山下町37-8 みなとみらい線元町中華街駅4番出口横 TEL 045-264-8568
取材・文/山西英希 撮影/山代厚男 読者モデル/吉澤早苗